「平成31年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」(以下「政府経済見通し」という。)が平成31年1月28日に閣議決定された。政府経済見通しは、翌年度の経済財政運営に当たって、政府がどのような基本的態度をとるのか、及び、それを踏まえて経済はどのような姿になるのか、という点について示したものである。今回の政府経済見通しでは、現下の経済情勢も踏まえつつ、平成31年度の実質GDP成長率は1.3%程度、名目GDP成長率は2.4%程度となると見込んでいる。実質GDP成長率に対しては、外需の寄与がおおむね横ばいとなる一方、各種の効果もあって、民需、公需ともにプラスに寄与し、我が国経済は雇用・所得環境の改善が続き、経済の好循環が更に進展する中で、内需を中心とした景気回復が見込まれる。以下、平成31年度政府経済見通しの具体的な内容について紹介する。なお、GDPの内訳項目等の詳細な見通しについては、文末の表を参照されたい。1.平成30年度の経済動向平成30年度の我が国経済は、緩やかな回復が続いている。輸出はおおむね横ばいとなっているものの、企業収益が過去最高を記録する中で設備投資が増加するとともに、雇用・所得環境の改善により個人消費の持ち直しが続くなど、経済の好循環は着実に回りつつある。ただし、昨年夏に相次いだ自然災害により、個人消費や輸出を中心に経済は一時的に押し下げられた。政府は、一連の自然災害の被災地の復旧・復興を全力で進めるため、平成30年度第1次補正予算を迅速かつ着実に実施している。あわせて、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策に速やかに着手するなど、追加的な財政需要に適切に対処するため、平成30年12月21日に平成30年度第2次補正予算を閣議決定した。今後についても、雇用・所得環境の改善が続く中、各種政策の効果もあって、景気は緩やかに回復していくことが見込まれる。物価の動向をみると、年度前半の原油価格上昇の影響等により、消費者物価(総合)は前年比で上昇している。この結果、平成30年度の実質国内総生産(実質GDP)成長率は0.9%程度、名目国内総生産(名目GDP)成長率は0.9%程度と見込まれる。また、消費者物価(総合)は1.0%程度の上昇と見込まれる。2. 平成31年度の経済財政運営の 基本的態度今後の経済財政運営に当たっては、引き続き、「経済再生なくして財政健全化なし」を基本とし、600兆円経済と財政健全化目標の達成の双方の実現を目指す。持続的な成長経路の実現に向けて潜在成長率を引き上げるため、一人ひとりの人材の質を高める「人づくり革命」と、成長戦略の核となる「生産性革命」に最優先で取り組む。また、希望出生率1.8、介護離職ゼロの実現を目指すとともに、生涯現役社会の実現に向け、高齢者雇用促進のための改革等を実現し、全世代型社会保障制度への取組を進め、少子高齢化という最大の壁に立ち向かっていく。さらに、農林水産業をはじめとした地方創生、国土強靱化、女性の活躍、障害や難病のある方の活躍、働き方改革、外国人材の受入れなどの施策の推進により、経済の好循環をより確かなものとし、誰もが生き平成31年度 政府経済見通しについて内閣府政策統括官(経済財政運営担当)付参事官(経済見通し担当)補佐 永田 光 ファイナンス 2019 Feb.23特集
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