ファイナンス 2019年2月号 Vol.54 No.11
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財投債は、財政融資の新規の貸付規模、財政融資資金全体の資金繰り等を勘案した結果、平成31年度においては前年当初と同額の12.0兆円となった。借換債は、過去に発行した国債の満期到来に伴う借換えのために発行するものであり、国債発行総額の大半を占めている。国債残高の増加を背景に借換債の発行額は依然多額に上るが、平成31年度においては、近年の発行年限の長期化等もあり同▲0.1兆円減の103.1兆円となった。(2)消化方式別発行額国債の消化方式は、大別すると、「市中発行」、「個人向け販売」、「公的部門」の3方式がある(表1、中表)。大半を占める「市中発行」分のうち、通常の入札による市中発行額(カレンダーベース市中発行額)については、前年度当初比▲4.8兆円減の129.4兆円の発行を予定している。個人向け国債の販売増加等も考慮して、国債発行総額の減少より減額幅が大きくなっている。「個人向け販売分」は、足元の販売状況等を踏まえ、同+1.4兆円増の4.7兆円とした。また、「公的部門」(日銀乗換)は、日本銀行が保有する国債が満期を迎えた際に、その一部について国会の議決を経た金額の範囲内で借換債を引き受ける制度である。平成31年度は、国債発行総額や市場環境等を踏まえ、同▲0.3兆円減の2.2兆円となっている。(3)年限別発行額カレンダーベース市中発行額(表3)の年限別発行額については、市場のニーズも踏まえ、超長期(40・30・20年債)、長期(10年債)、中短期(5・2・1年債)の各ゾーンでバランスを取って減額している。具体的には、超長期債(40・30・20年債)については、平成30年度国債発行計画で減額した30年債と40年債の発行額を維持しつつ、減額を見送った20年債の毎月の発行額を▲0.1兆円減額し、年間▲1.2兆円の発行減額とした。また、長期債(10年債)、中期債(5・2年債)については、低金利下で投資家の実需が限定的であることから、一律で年間▲1.2兆円の減額を行うこととした。なお、1年債については、割引短期国債の減額は行わないが、国庫の資金繰りのために発行している政府短期証券の毎月の発行額は、平成31年2月より▲0.2兆円減額することとしており、1年割引短期国債と1年政府短期証券を合わせた1年国庫短期証券としての総額は、年間▲2.4兆円の減額となる。また、発行総額が減少する中でも、「流動性供給入札」については、市場の状況を踏まえ、発行額を据え置くこととした。(表2)平成31年度国債発行予定額〈発行根拠法別発行額〉(単位:億円)〈消化方式別発行額〉(単位:億円)区  分30年度当初31年度当初31年度当初(変更後)区  分30年度当初31年度当初31年度当初(変更後)(a)(b)(c)(c)-(a)(c)-(b)(a)(b)(c)(c)-(a)(c)-(b)新規国債336,922326,598326,605▲ 10,3177カレンダーベース 市中発行額1,342,0001,294,0001,294,000▲ 48,000-建設国債60,94069,52069,5208,580-第Ⅱ非価格 競争入札等85,00085,64085,640640-特例国債275,982257,078257,085▲ 18,8977年度間調整分13,85638,64638,65324,7977復興債9,5639,2849,284▲ 279-市中発行分 計1,440,8561,418,2861,418,293▲ 22,5637財投債120,000120,000120,000--個人向け販売分33,00047,00047,00014,000-借換債1,032,3711,031,4041,031,404▲ 967-公的部門 (日銀乗換)25,00022,00022,000▲ 3,000-うち復興債分18,58718,08018,080▲ 507-合  計1,498,8561,487,2861,487,293▲ 11,5637国債発行総額1,498,8561,487,2861,487,293▲ 11,5637※1 平成31年度の市中からの買入消却については、総額1兆円程度を上限に実施(具体的な実施方法は、市場参加者との意見交換を踏まえ、市場の状況を見ながら決定)※2 平成31年度における前倒債の発行限度額は53兆円(注1)各計数ごとに四捨五入したため、計において符合しない場合がある(注2)カレンダーベース市中発行額とは、あらかじめ額を定めた入札により定期的に発行する国債の4月から翌年3月までの発行予定額(額面)の総額をいう(注3)第Ⅱ非価格競争入札とは、価格競争入札における加重平均価格等を発行価格とする、価格競争入札等の結果公表後に実施される国債市場特別参加者向けの入札をいう(価格競争入札等における各国債市場特別参加者の落札額の15%を上限)。第Ⅱ非価格競争入札に係る発行予定額については、当該入札を実施する国債(40年債、30年債、20年債、10年債、5年債、2年債及び10年物価連動債)のカレンダーベース市中発行額の7%を計上している第Ⅱ非価格競争入札等として、第Ⅱ非価格競争入札に係る発行予定額のほか、カレンダーベース市中発行額と実際の発行収入金との差額の見込みを計上している(注4)年度間調整分とは、前倒債の発行や出納整理期間発行を通じた、前年度及び後年度との調整分をいう ファイナンス 2019 Feb.21平成31年度予算特集:1平成31年度国債発行計画について 特集

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