ファイナンス 2019年2月号 Vol.54 No.11
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本稿では、昨年12月21日に公表した平成31年度国債発行計画の内容を中心として、来年度の国債管理政策の概要を説明したい。1.現下の国債市場の状況平成30年前半は、日本銀行の「イールドカーブ・コントロール」政策の下、我が国の長期金利は概ね0%~0.1%の狭いレンジ内で推移した。平成30年7月末に日本銀行が「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」を決定し、金融政策の修正を行った後は、金利が上昇基調になったことに加え、米債金利の大幅上昇等の影響もあり、長期金利は一時0.155%まで上昇。しかし、その後は、世界景気の先行き懸念等を背景に、米債金利の低下や株価の大幅下落を受けて、長期金利は一時▲0.050%まで低下した。我が国における各年限の金利の動きを見ると、平成30年前半は相対的に金利が高い超長期債が買われ、イールドカーブはフラット化。7月末の金融政策修正後は金利上昇し、イールドカーブはスティープ化したものの、足元の世界的なリスクオフ環境下においては、全年限で金利が低下している。2.平成31年度国債発行計画の概要以上のような市場環境を踏まえ、平成31年度国債発行計画を策定した(表1)。(1)発行根拠法別発行額平成31年度の国債発行総額は、平成30年度当初と比べ▲1.2兆円減の148.7兆円となった。発行根拠法別(表1、左表)の内訳をみると、まず一般会計予算の歳入となる新規国債(建設国債・特例国債)は、前年度当初比▲1.0兆円減の32.7兆円となった。復興債は、東日本大震災からの復興のための施策に要する費用の財源に充てるため、復興特別税等の収入が確保されるまでのつなぎとして発行されるものであり、平成31年度においては、同▲0.0兆円減の0.9兆円の発行を予定している。平成31年度 国債発行計画について理財局国債企画課長 辻 貴博(表1)平成31年度国債発行計画の概要〈発行根拠法別発行額〉(単位:兆円)区  分31年度対30年度当初新規国債 (建設・特例国債)32.7▲ 1.0復興債0.9▲ 0.0財投債12.0-借換債103.1▲ 0.1国債発行総額148.7▲ 1.2〈消化方式別発行額〉(単位:兆円)区  分31年度対30年度当初市中発行分141.8▲ 2.3通常の入札による市中発行額 (カレンダーベース市中発行額)129.4▲ 4.8入札時の追加 発行分 等12.42.5個人向け販売分4.71.4日銀乗換2.2▲ 0.3合計148.7▲ 1.2〈年限構成(通常の入札)〉(単位:兆円)区  分31年度対30年度当初40年債2.4-30年債8.4-20年債10.8▲ 1.210年債25.2▲ 1.25年債22.8▲ 1.22年債24.0 ▲ 1.21年割引短期国債21.6-10年物価連動債1.6-流動性供給入札12.6-合計129.4▲ 4.8=20 ファイナンス 2019 Feb.特集

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