ファイナンス 2019年2月号 Vol.54 No.11
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ては、1,500億円の財政融資の追加により、約270億円の金利負担を軽減し、これに基づき、護岸の嵩上げ・排水機能の強化や電源設備の浸水対策等を実施することにより、防災機能を強化することとしている。この取組みは、「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」(平成30年12月14日閣議決定)にも盛り込まれている。(2)日本企業の海外展開支援等株式会社国際協力銀行、独立行政法人国際協力機構、株式会社海外交通・都市開発事業支援機構、株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構において、日本企業によるインフラ海外展開への支援等を行うこととしている。(3)教育・福祉・医療独立行政法人日本学生支援機構において、進学意欲のある学生等に対し貸付規模として所要の額を確保することとしているほか、独立行政法人福祉医療機構において、福祉医療サービスの基盤強化を行うこととしている。(4)地方地方公共団体向けについては、臨時財政対策債の引受けを縮減する一方で、「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」に基づく防災のための重要インフラ等の機能維持等を目的として新設された防災・減災・国土強靭化緊急対策事業に対応するなど、地方債計画に基づき、上下水道等の住民生活に密着した社会資本整備や災害復旧を中心に、必要な資金需要に的確に対応することとしている。3. 平成31年度計画編成中に検討した内容(1)官民ファンドの効率化等に向けた対応官民ファンドは、政策的必要性がある事業に対し、民間では取ることが難しいリスクを取ることにより、民間のリスクマネーの供給を活発化させて、民間主導の経済成長を実現することを目的として設立されている。官民ファンドは、実投融資累積額約1.9兆円に対して、誘発された民間の投融資累積額は約4.2兆円、累積総利益は約6,000億円のプラス(平成29年度末時点)となっており一定の成果が出ているものの、一部のファンドでは累積損失を計上している。このため、財投分科会や官民ファンドの活用推進に関する関係閣僚会議幹事会等における議論を経て、官民ファンドの効率的かつ効果的な活用の推進と収益構造の改善等に向けた取組方針が「新経済・財政再生計画 改革工程表2018」(平成30年12月20日経済財政諮問会議)に盛り込まれた。具体的には、累積損失を計上している官民ファンド及び監督官庁は、累積損失解消のための数値目標・計画を策定し、31年4月までに公表、さらに、当該目標・計画と実績を検証し、乖離が認められる場合には、31年度央又は32年5月までに改善目標・計画を策定・公表することとされた。引き続き、官民ファンドの効率化等に向けて、検討を進めてまいりたい。資料1 平成31年度財政投融資計画の概要区 分30年度31年度1.成長力強化のための重点投資等79,95270,586(1)企業の成長力強化47,00147,525うち 日本政策投資銀行7,7907,800   日本政策金融公庫38,17538,373    うち (国民一般向け業務)19,59520,803       (中小企業者向け業務)10,3809,880       (農林水産業者向け業務)4,8305,300   沖縄振興開発金融公庫1,0361,352(2)インフラ整備の加速等32,95123,061うち 日本高速道路保有・債務返済機構27,45015,200   新関西国際空港2011,500(単位:億円)区 分30年度31年度2.日本企業の海外展開支援等20,12818,705 うち 国際協力銀行11,72410,928    国際協力機構6,1845,492    石油天然ガス・金属鉱物資源機構423370    海外交通・都市開発事業支援機構1,2681,231    海外通信・放送・郵便事業支援機構312352    海外需要開拓支援機構1351703.教育・福祉・医療12,44911,376 うち 日本学生支援機構7,0756,744    福祉医療機構3,4862,9314.地方32,10230,527 うち 地方公共団体28,10229,527財政投融資計画額144,631131,19418 ファイナンス 2019 Feb.特集

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