ファイナンス 2019年2月号 Vol.54 No.11
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平成31年度財政投融資計画(以下、「31年度計画」という。)は、平成30年8月末に要求を受けた後、財政制度等審議会財政投融資分科会(以下、「財投分科会」という。)において審議を行った上で、12月21日に予算政府案とあわせ、閣議に提出された。1.平成31年度財政投融資計画の規模31年度計画の総額は、13兆1,194億円である。このうち、出資等を行う産業投資の規模は3,849億円と過去最大となっている。31年度計画については、低利・長期・固定の財政融資、民間投資の呼び水としての産業投資、という財政投融資の特徴を活かして、インフラ整備や企業の成長力強化といった日本経済の重要課題に対応するものとした。2. 平成31年度財政投融資計画の概要(資料1)(1)成長力強化のための重点投資31年度計画においては、成長力強化のための重点投資等に計画全体の50%超にあたる約7.1兆を配分した。具体的には、低金利を活用した高速道路整備と関西国際空港の防災機能の強化の加速、産業投資を呼び水とした民間からのリスクマネー供給強化等に取り組むこととしている。(ア)企業の成長力強化日本経済の持続的な発展のためには、豊富な国内民間資金を成長分野へのリスクマネーとして振り向け、企業等の更なる成長・投資に繋げることが重要な課題となっており、これを促進するエクイティ型の金融仲介機能の強化が必要である。こうした状況を踏まえ、株式会社日本政策投資銀行(以下、「DBJ」という。)において、産業投資を呼び水として民間からのリスクマネー供給の強化を図ることとしている。具体的には、産業投資を原資としてDBJから800億円出資を行うことで、民間金融機関等からの投資を誘発し、合計5,000億円超の新規投資に結び付け、日本経済の成長力を強化することとしている。また、株式会社日本政策金融公庫(国民・中小)において、消費税率引上げに係る中小・小規模事業者等の資金需要への万全な対応を図るとともに、同公庫の農林事業においては、集約化・規模拡大を目的とした設備投資等を行う農業者への支援を民間金融機関との連携を強化しつつ行うこととしている。(イ)インフラ整備の加速等現下の低金利環境を活用して、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構及び新関西国際空港株式会社において、今後発行を予定している政府保証債(10年債)等の一部を予め超長期(40年)の財政融資資金に置き換え、将来にわたる金利負担を大幅に軽減することにより、物流効率化に直結する高速道路ネットワークの整備による生産性の向上及び安心・安全な国民生活の礎を担う基幹インフラの防災機能の強化を推進することとしている。具体的には、高速道路整備については、1兆円の財政融資の追加により、約7,000億円の金利負担を軽減し、これに基づき、新名神高速道路の6車線化及び各地方の暫定2車線区間の4車線化の事業を行うこととしている。関西国際空港につい平成31年度 財政投融資計画について理財局財政投融資総括課長 橋本 真吾 ファイナンス 2019 Feb.17特集

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