ファイナンス 2019年2月号 Vol.54 No.11
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蓄・投資、保険等の金融税制が段階的に整備・拡充されてきたが、働き方の多様化が進展する中で、働き方の違い等によって税制による支援が異なること、各制度それぞれで非課税枠の限度額管理が行われていることといった課題がある。また、「人生100年時代」に向けて、全世代型社会保障制度の構築が進められていく中、税制においても、どのようなライフコースを歩んだ場合でも老後に備える資産形成について公平に税制の適用を受けることができる制度のあり方を考えることが必要である。こうした認識の下、関係する諸制度について、社会保障制度を補完する観点や働き方の違い等によって有利・不利が生じないようにする等公平な制度を構築する観点から、諸外国の制度も参考に、包括的な見直しを進めることとされている(資料7~9)。(イ)相続税・贈与税のあり方(一) 教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の見直し教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置及び結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置は、祖父母や両親の資産を早期に若年世代に移転させることにより経済活性化に資することを目的に、それぞれ平成25年度及び平成27年度の税制改正で導入された。制度の適用状況をみると、両措置とも、導入当初と比べて新規契約数が大幅に減少している。また、両措置については、導入当初から、格差の固定化につながらないよう、機会の平等の確保に留意した見直しが必要との指摘があった。これらの観点を踏まえ、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置については、受贈者の所得要件設定や使途の見直し等を行う一方、30歳以上の就学継続には一定の配慮を行い、適用期限を2年間延長する。また、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置については、受贈者の所得要件設定を行い、適用期限を2年間延長する。(二) 資産移転の時期の選択に中立的な相続税・贈与税に向けた検討高齢化の進展に伴い、いわゆる「老々相続」が課題となる中で、生前贈与を促進する観点からも、資産移資料7 老後の備え等に対する自助努力(資産形成)への主な支援措置の現状(イメージ)投資・貯蓄促進退職金共済企業年金・個人年金等公的年金(凡例)老後の備え等に対する自助努力(資産形成)への支援について、税制上の措置が講じられている主なものを掲げた。色分けの分類は以下のとおり。財形住宅・年金貯蓄(預貯金、保険等)※従業員のみNISA(上場株式等)個人年金(保険)障害者等マル優等(預貯金、公債等)小規模企業共済確定給付企業年金(DB)企業型確定拠出年金(企業型DC)国民年金基金個人型確定拠出年金(個人型DC、iDeCo)厚生年金基礎年金基礎年金基礎年金本人が(主に)拠出するもの事業主が(主に)拠出するもの事業主拠出・本人拠出(折半)本人拠出なし企業が任意で実施小規模企業共済※役員のみ中小企業退職金共済※従業員のみ(注)上記は、原則的な取扱いを示すものであり、個々の制度について加入可能な対象者の範囲等をすべて図示したものではない。正規雇用労働者(大企業役員・従業員)正規雇用労働者(中小企業役員・従業員)非正規雇用労働者自営業主(フリーランス等)自営業主(伝統的自営業、士業等)専業主婦(正規雇用労働者の無就業配偶者)DB及び企業型DCは、企業が任意で実施。厚生年金被保険者のうち企業年金加入者等の割合は、4割弱個人型DCの拠出限度額は企業年金の加入状況等によって異なる ファイナンス 2019 Feb.13平成31年度予算特集:1平成31年度税制改正(国税)について 特集

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