ファイナンス 2019年2月号 Vol.54 No.11
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長率を高めていくことが重要である。このため、研究開発投資の多様化を図り、質の高い研究を後押しするとともに、研究開発投資の増加インセンティブを強化する観点から、研究開発税制の見直しを行う(資料5)。〈オープンイノベーション型〉・オープンイノベーション型について、大企業や研究開発型ベンチャーに対する一定の委託研究等を対象に追加するとともに、控除上限を法人税額の10%(現行:5%)に引き上げる。さらに、大学における研究開発の運営・管理体制の充実に向け、大学との共同研究等に係る試験研究費について、その運用を明確化する。〈総額型〉・総額型について、増加インセンティブ強化の観点から控除率を見直すとともに、研究開発を行う一定のベンチャー企業(注:設立後10年以内で当期において翌期繰越欠損金を有する法人(大法人の子会社等を除く。))の控除上限を法人税額の40%(現行:25%)に引き上げる。資料3 平成31年度税制改正の概要(車体課税)(案)▲自動車税の恒久減税(減収額:▲1,320億円程度)・ 消費税率引上げ後に購入した新車から、小型自動車を中心に、自家用自動車(登録車)に係る自動車税の税率を恒久的に引き下げる(例:660cc超1,000cc以下は▲4,500円/年の引下げ)。・ 税制抜本改革法以来の累次の大綱において懸案事項とされてきた車体課税の見直しについては、今般の措置をもって最終的な結論とする。▲自動車重量税のエコカー減税の見直し(増収額:270億円程度)政策インセンティブ機能の強化の観点から、1回目車検時の軽減割合等を見直すとともに、2回目車検時の免税対象を電気自動車等や極めて燃費水準が高いハイブリッド車に重点化。▲地方税財源の補てん自動車税の恒久減税により生じる地方税の減収のうち、地方税の見直しによる増収により確保できない分(800億円程度)について、異例の措置として、以下の措置により全額国費で補てん。・ エコカー減税の見直し(前述)・ 自動車重量税の譲与割合の段階的引上げ現行407/1000⇒平年度(平成47年度(2035年度)~)490/1000・ 揮発油税から地方揮発油税への税源移譲揮発油税税率   48,600円/kl(現行)⇒48,300円/kl(平成46年度(2034年度)~)▲300円/kl地方揮発油税税率 5,200円/kl(現行)⇒ 5,500円/kl(平成46年度(2034年度)~)+300円/kl▲消費税率引上げ後1年間の措置として環境性能割の税率を1%分軽減。資料2 住宅に係る駆け込み・反動減対策(税制面の対応(案))最大  40  万円404040404040404040現行の住宅ローン減税(ローン残高(最大4,000万円)の1%を控除(最大40万円))23456789101年目111213○ 消費税率10%が適用される住宅取得等について、住宅ローン控除の控除期間を3年延長(現行10年間⇒13年間)。○ 11年目以降の3年間については、消費税率2%引上げ分の負担に着目した控除額の上限を設定。具体的には、各年において、以下のいずれか少ない金額を税額控除。① 建物購入価格の2/3%② 住宅ローン年末残高の1%⇒ 3年間で消費税増税分にあたる「建物購入価格の2%(2/3%×3年)」の範囲で減税を行う。ただし、ローン残高が少ない場合は、現行制度通り住宅ローン年末残高に応じて減税する。(注1)平成31年(2019年)10月1日から平成32年(2020年)12月31日までの間に居住の用に供した場合に適用。(注2)建物購入価格、住宅ローン年末残高の控除対象限度額は一般住宅の場合4,000万円、認定住宅の場合5,000万円(現行制度と同水準)。(注3)入居11~13年目についても、所得税額から控除しきれない額は、現行制度と同じ控除限度額(所得税の課税総所得金額等の7%(最高13.65万円))の範囲で個人住民税額から控除。なお、個人住民税の減収額は、全額国費で補てん。(注4)入居1~10年目は現行制度通り税額控除。【拡充のイメージ(一般住宅の場合)】控除期間を3年延長消費税率2%引上げの負担に着目し、建物購入価格の2%(2/3%×3年間)の範囲で減税(注)認定住宅の場合、入居1~10年目は各年、ローン残高(最大5,000万円)の1%を控除(最大50万円)。10 ファイナンス 2019 Feb.特集

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