ファイナンス 2019年1月号 Vol.54 No.10
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仮想通貨は送金や決済、投資などに利用されている仮想通貨とは、紙幣や硬貨などの現物がなく、データのみで取引される通貨のことだ。インターネット上で発行され、主にインターネット上で取引される。一般的な通貨は、各国の中央銀行が発行し、その国による価値の保証があるが、仮想通貨にはない。また、データのみで存在しているため、不正防止策が必要になる。そこで高度に暗号化された技術が利用されている。それを支えているのがブロックチェーン技術だ。従来の情報管理では中央管理者が存在し、すべての取引は中央管理者を通じて行われている。ただ、中央管理者は信頼性の高いシステムを用意しなければならず、莫大なコストがかかる。そのコストは取引手数料として、利用者に転嫁されている。一方でブロックチェーンには中央管理者が存在せず、データは参加者が分散管理している。取引履歴は誰でも確認できるので、データの改ざんが行われにくいといわれている。また、データが分散していることでシステム障害に強く、低コストで金融サービスが利用できるという特徴もある。現在、仮想通貨は送金や決済、投資などの手段として利用されている。そもそもインターネット上で取引される通貨であるため、世界中どこにでも送金が可能。銀行などの金融機関を通さないため、素早く低コストで送金できるのがメリットだ。また、買い物の代金やサービスの利用料の決済に仮想通貨を利用すれば、クレジットカードなどで決済をするよりもコストがかからない。すでに、家電量販店などで仮想通貨による決済が可能になっている。さらに、仮想通貨は価格変動が大きいものが多いため、値上がり益を狙った投資にも利用されている。このような背景から仮想通貨には、2017年に入ってから注目が集まった。そこで、2017年4月に施行された「改正資金決済法」では、仮想通貨は図表2のように定義された。現在、取引されている仮想通貨は1000種類以上あるといわれているが、圧倒的な時価総額となっているのがビットコインでイーサリアムやリップルが後に続く。仮想通貨は日本円や米ドルなど法定通貨との交換が可能。取引は交換業者を通じて行われる。交換業者は金融庁・財務局に登録する必要があり、平成30年12月19日時点で関東財務局13業者、近畿財務局3業者合わせて16業者が登録されている。●主な仮想通貨の「価格」の推移ビットコイン(左軸)イーサリアム(左軸)リップル(右軸)●主な仮想通貨の「時価総額」の推移(億ドル)ビットコインイーサリアムリップル18/1018/718/418/117/1017/717/418/1018/718/418/117/1017/717/415010050030201002017/4/1の価格を1とした場合3,5003,0002,5002,0001,5001,0005000国内では16の交換業者が登録仮想通貨とはどんなものか図表3 仮想通貨の市場規模図表2 仮想通貨とは出典:金融庁「仮想通貨交換業等に関する研究会」第1回 事務局説明資料より抜粋仮想通貨は2017年4月施行の改正資金決済法によって、以下のように定義されている。(1)以下のすべての性質を有する財産的価値a 不特定の者に対して代価の弁済に使用でき、かつ、不特定の者を相手に法定通貨と相互に交換できる。b 電子的に記録され、移転できる。c 法定通貨又は法定通貨建ての資産ではない。(2)不特定の者を相手に上記(1)と相互に交換できる財産的価値(上記b・cを満たすもの)。 ファイナンス 2019 Jan.4交換業者が年間取引報告書を交付仮想通貨の確定申告手続きを簡素化特集

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