ファイナンス 2019年1月号 Vol.54 No.10
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博多ビートル(週14便~15便、所要3時間5分、旅客定員191人)が就航し、現在に至っている。加えて、最近の博多港の話題と言えば、クルーズ船(なお、クルーズ船は国内各地を回るものと、外地との間のクルーズ船がある。税関が検査するものは後者であり、以下、区別するため、「国際クルーズ船」という)の入港で、平成26年(2014年)の国際クルーズ船の入港は100隻程度であったが、翌27年(2015年)には2倍を超え、平成28年(2016年)、29年(2017年)は2年連続で300隻を超える状況である。旅客数については、国際クルーズ船に限って言えば84万人(税関調べ。二次港船の旅客を含む。以下同じ)を超え、定期船(ニューかめりあ及びビートル。以下同じ)も含めると100万人超の状況である。博多港に寄港する国際クルーズ船の主な航路は、上海・天津・青島等の中国の港を出て、翌々日の朝(7~10時頃)に博多港に入港した後、国際クルーズ船が停泊している間に、旅客はバスツアーで近郊の観光地や買い物を楽しみ、同日夕方から夜にかけて博多港を出港して、中国に戻るというものが多い。バスツアーでめぐる主な観光地は、福岡市近郊の太宰府天満宮、福岡城址、大濠公園、櫛田神社、福岡タワー等で、買い物は天神等近郊の大型商業施設、免税店などである。これほど短期間に国際クルーズ船の寄港が増えた理由については、国際クルーズ船により、また、同じ船でも時期、クラスに応じて料金はさまざまであるが、4~5日の旅程、スタンダードクラスの客室、船内での食事も含んで4000~5000元(約6.4万~8万円)と空路より安価であるうえ、船内に、カジノ、ゲームセンター、シアター等の娯楽施設が充実しており、家族そろってのんびり船旅がすごせることが人気の要因と言われている。また、地元・福岡市が国際クルーズ船の誘致に積極的であることが挙げられる。設備面で言えば、国際クルーズ船の寄港が急増した平成27年(2015年)5月には、中央ふ頭クルーズセンターが供用され、CIQ(税関・出入国管理・検疫)審査や、旅客の待ち合わせ等に使われることにより利便性が向上している。年間300隻を超えるということは、1日にほぼ1隻、同日に2隻着岸することも多々ある。これまで1日に2隻が寄港する際は、1隻を中央ふ頭に、もう1隻は箱崎ふ頭に接岸させ、船内でCIQ検査を行っていたところ、CIQ検査に対応できる多目的施設が箱崎ふ頭に建設され、平成30年(2018年)11月から供用されている。さらに、急増するクルーズ船の寄港に対応すべく、平成30年(2018年)9月には、中央ふ頭を幅20メートル、長さ330メートルにわたって延伸し、定期船に加え、クルーズ船が2隻同時接岸できるように整備された(図2の写真は平成30年(2018年)9月4日、中央ふ頭に定期船ニューかめりあ及びクルーズ船2隻が同時接岸したときの模様)。福岡市によれば延伸部分についても、旅客のための施設整備を進めているところである。また、中国・上海市との間で平成30年(2018年)1月に、連携強化のための覚書を締結しており、その第一弾として、これまではインバウンド、すなわち、中国からの旅客が主であったところ、博多から発着するクルーズ旅行を試験的に開始している。国際クルー【図1】博多港位置関係図【図2】 博多港中央ふ頭でのクルーズ船2隻接岸(右端は定期船ニューかめりあ)71 ファイナンス 2019 Jan.連 載 ■ 各地の話題

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