ファイナンス 2019年1月号 Vol.54 No.10
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銀ぎん座ざ創そう龍りゅう【銀座】銀座コリドー街にまたまた新店が誕生!『銀座創龍』は名門『野方ホープ』の関連店2019年の記念すべき第1軒目の店舗を紹介する前に、昨年の霞が関周辺のラーメンシーンを少し振り返っておきたい。2018年上半期は、新橋、西新橋を中心に有力な新店舗が立て続けにオープン。特に、このコラムでご紹介した『麺屋味方』『谷瀬家』『孫作』の3軒は、開業当初から安定した実力を有し、現在も根強い支持を獲得。一転して、下半期は銀座エリアが大当たりだった。このコラムで紹介した『魄瑛』『紅麗』は東銀座、『ひょっとこ』は銀座の店舗を構える。加えて12月には『八五』という実力派店舗のセカンドブランドが東銀座に降臨。この流れが今年も続けば、銀座が「都内屈指のラーメン激戦区」としてラーメン好きからの注目を浴びる日も遠くないのではないかと思われる。さて。今回ご紹介する『銀座創龍』もまた、銀座にオープンした新店。オープン日は、2018年10月29日。豚骨醤油スープに大量の豚背脂を振り掛ける「背脂チャッチャ」系ラーメンで有名な『野方ホープ』を経営する創龍グループが、屋号にグループの名(創龍)を与え銀座の地へと送り出した新業態だ。同店の看板メニューは、醤油を日本が誇る伝統的な調味料と捉え、醤油っぽさを前面へと押し出した「大江戸醤油」と「大江戸焦がし醤油」の2品。その中でも基本メニューとなる「大江戸醤油」は、タレの醤油に、都内あきる野市の名門『近藤醸造』の「キッコーゴー醤油」を採用。着丼した瞬間から芳香が宙を舞う自家製醤油ダレに、動物系(鶏ガラ・モミジ・香味野菜)と魚介(アゴ)の2種類の出汁を合わせた、創龍グループが同店のために開発した本格派清湯ラーメンだ。醤油ダレは、味蕾に達した瞬間、濃密な甘みとうま味が弓の名手・那須与一が放つ矢のように味覚中枢のど真ん中を射抜く。タレの後を追うように、アゴの華やかな風味が鼻腔を穏やかに刺激する二層櫓的な構成は、見事のひと言に尽きる。スープを丹念に吟味すれば、液状油がスープの味わいに華添える役割を担っていることに気付く。ジャンルが清湯系に移っても、『野方ホープ』で培った効果的な油の活用テクニックが巧みに活かされているのだ。好みを分ける可能性は否定できないが、店の「顔」が見える個性的な1杯に仕上がっており、個人的には好感を持つことができた。このスープに合わせる麺は、国産小麦で創られた低加水の自家製ストレート。やや硬めに茹で上げることで、溌剌とした食感を、加水率を下げスープの吸収を良くすることで、麺とスープの一体感を演出。作り手の想いが垣間見える良きチョイスだ。2種類の清湯醤油以外にも、旬の野菜が堪能できる「温野菜ラーメン」、トマトの滋味をたっぷり溶け込ませた「とまとラーメン」等の女性向けの品や、『野方ホープ』で提供する背脂チャッチャ系ラーメンなど、多岐にわたるメニューを提供する同店。あえて複数名で足を運び、色々なタイプの味をシェアしてみるのも一興だろう。(店舗情報)住所:中央区銀座6-4-18 マキシドビアビル1F電話番号:―営業時間:11:00~28:00定休日:無休プロフィールラーメン探究家 かずあっきぃ(田中 一明)1972年11月生まれ。学生時代に出逢った1杯のラーメンに感銘を受け、1995年より本格的な食べ歩きに着手。「ラーメンの魅力の探究」をライフワークとし、年間700杯以上のラーメンをコンスタントに実食。総食杯数は12,000杯を超える。日本全国のラーメン事情に通暁し、各種媒体にラーメン情報を精力的に発信。 ファイナンス 2019 Jan.66かずあっきぃのラーメン探訪記連 載 ■ かずあっきぃのラーメン探訪記

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