ファイナンス 2019年1月号 Vol.54 No.10
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あけましておめでとうございます。平成31年の年頭に当たり、謹んで新春のお慶びを申し上げますとともに、我が国の経済財政運営等につきまして所感を述べさせていただきます。昨年、相次ぐ自然災害が日本を襲い、列島に甚大な被害をもたらしました。これらの災害により亡くなられた方々とご遺族に対し、深く哀悼の意を表しますとともに、被災者の方々に、心からお見舞いを申し上げます。昨年11月に成立した平成30年度第1次補正予算では、自然災害からの復旧・復興に必要な経費を措置しました。最近の災害の激甚化・深刻化に鑑み、防災・減災、国土強靱化を進めることは、重要かつ喫緊の課題です。誰もが安心して暮らすことができる故郷を創り上げるために、引き続き、全力で対応していきます。昨年の世界経済を振り返ると、貿易をめぐる緊張が高まった1年でした。自由で公正なルールに基づく貿易を通じて世界経済の成長を高めていくことが重要です。そのためには二国間の枠組みではなく、多国間の枠組みで解決策を追求していく必要があります。昨年12月にTPP11が発効し、本年2月には日EU・EPAが発効します。これらの協定が、日本経済、ひいては世界経済の新たな成長エンジンとなることを期待しています。さらに、本年、日本は初めてG20議長国を務めます。6月28日・29日にG20大阪サミット、6月8日・9日にG20福岡財務大臣・中央銀行総裁会議を開催します。現下の世界経済は、安定性を維持しているものの、貿易をめぐる緊張の高まり、経済成長の鈍化、金融脆弱性の高まりなどの下方リスクが存在します。第二に、高齢化社会への対応や、途上国におけるインフラ・社会保障制度の整備などの数多くの伝統的課題もあります。第三に、急速な技術革新に伴う変化への対応も新たな課題です。したがって、G20福岡会議においては、「世界経済のリスクと課題の整理」、「成長力強化のための具体的取組」、「技術革新・グローバル化がもたらす経済社会への構造変化への対応」の三つのテーマに注力します。平成31年度予算は、「新経済・財政再生計画」の下で編成する初年度の予算でした。新しい計画に基づき歳出改革を着実に進めました。一方で、各分野の生産性向上などの重要課題に重点化するなど、メリハリのある予算としております。全世代型の社会保障制度への転換に向け、消費税増収分を活用した幼児教育の無償化や低年金者への給付など、社会保障の充実にしっかりと対応しました。ま平成31年1月財務大臣年頭所感財務大臣麻生 太郎1 ファイナンス 2019 Jan.

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