ファイナンス 2019年1月号 Vol.54 No.10
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財務総合政策研究所Ministry of Finance, Policy Research Institute1.はじめに皆様おはようございます。ご紹介いただきましたローカルファースト研究所の関でございます。私はもともと東京の三鷹市役所に地方公務員として勤務していましたが、1998年に制定された中心市街地活性化法に基づき、全国で7番目となる第3セクターのまちづくり会社「株式会社まちづくり三鷹」に主担当として関わったことが私の大きな転機となりました。2007年には千代田区に移って、秋葉原の活性化に取り組みました。その後、内閣府企業再生支援機構担当室での勤務を経て、2009年に株式会社ローカルファースト研究所を設立して、地方を元気にするため、様々な形で取り組んでまいりました。地方の現場に身を置くものとして、現状はこのような状況ですということを皆さんにお伝えすることで、少しでもお役に立てればと思っています。2.人口減少の現状(1)自治体の7割が人口5万人未満地方自治体の現状を見ると、人口1万人未満の自治体数が約500、人口1万人以上5万人未満の自治体数が690くらいありまして、合計すると人口5万人未満の自治体数が1200程度あります。これは全自治体(1,742)の約7割を占めていますが、ここには日本の全人口の15%しか住んでいないのです。このバランスの悪さを地方創生で何とか改善・是正していく必要があります。(2)人口減少の要因:結婚しない⇒出生率低下社会学的に見て日本の人口減少の最大の要因は、東京に集まった団塊ジュニアの方々が次の世代を生まないことです。この生まない原因をきちんと分析して対策を打たないといけないのです。東京への一極集中はいまだに止まっていません。極端に人口密度が高いと子供を生まないのです。私は都市政策と一緒に人口問題を語らないと問題解決は難しいのではないかと思います。子供が生まれない最大の原因は結婚しないことです。日本は未婚のまま子供を生むことを是とする社会認識にはまだなっていませんので、まずは結婚が出生のスタートになるのです。雇用なくして結婚なし、結婚なくして出生なし、ですので雇用政策は重要です。そして雇用政策と都市政策の両方をやることが求められています。(3)未婚・非婚化の要因未婚・非婚化の要因として4点あります。1点目に、お一人様の生き方を容認してきた社会風潮があります。そこで、「結婚することは幸せなのだ」というキャンペーンが必要だと思います。これは露骨にキャンペーンというのではなく、テレビドラマや映画などの映像化がすごく影響があります。また、最近英国皇室でのご出産が続いていますが、ああいったセレブの方の出産を見て、「ああ、子供って、いいよね。」という流れを作ることが大事です。「結婚することの幸せ感」を感じられるようなテレビや映画のコンテンツを制作するところに日本としても予算が出るようになることを期待しています。平成30年11月2日(金)開催職員 トップセミナー関 幸子 氏(株式会社ローカルファースト研究所代表取締役)稼げる自治体を創る~地方創生と税と仕事の再配分~演題講師47 ファイナンス 2019 Jan.連 載 ■ セミナー

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