ファイナンス 2019年1月号 Vol.54 No.10
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財務総合政策研究所Ministry of Finance, Policy Research Institute1.はじめに皆さん、こんにちは。私は、フリーランスのアナウンサーとして「話す」ことを専門に活動する傍ら、リーダーシップを必要とするビジネスパーソンに向けて、10年以上、コーチング業務に取り組んでいます。特色は、大学院で学んだ「行動分析学」をコーチング手法に取り入れていることです。行動分析学は、「人間理解には行動をよく知ることが大切」という考えを基礎とした心理学です。主に、(1)行動の原因を、相手の「気持ち」ではなく、相手の「環境」や「過去の経験」に求め調査・観察力に重点が置かれている点、(2)「やる気」の持たせ方が確立しており、誰もが科学的に行動改善や成長を促せる点が、大きな特徴です。本日は、この行動分析学を軸に、リーダーシップ発揮に活用できる、具体的な「話し方」を加えて、「皆さんから事前に提出いただいたアンケートの結果」「リーダーシップ概論」「行動の鉄則」「行動の基礎」の4部構成でお話いたします。2.事前アンケート結果事前アンケートは、3つの設問に記述式で回答する形式でしたが、8割近い方からご返信いただき、ありがとうございました。最初の質問項目「職場の上司や部下との関係で気を付けていること」では、「環境」や「雰囲気作り」、という回答が非常に多く、具体的には、「プレッシャーを与えない」「フランクな状況作り」「弱みを示す」「相手の立場に立った対応」「コミュニケーション」「感情のコントロール」など、部下への配慮を示す言葉が並んでいました。その他、特徴的だったのは、「指示」「説明」に関する回答です。上司に対しては、「簡潔な説明を心掛ける」、部下に対しては、「丁寧な分かりやすい説明をする」「具体的な指示を行う」「納得感ある指導を行う」、など、非常に高いマネジメント能力を発揮している印象を受けました。2番目の質問項目「現在の職場で改善したいこと」について。まず、「若手の人材育成」に関して実に多くのコメントをいただきました。中でも発想力・自主性・自発性・思考法、そして、当事者意識・業務改善意識・意識改革など、「意識」「思考」といった内容が顕著でした。本日は「意識」についても触れてみたいと思います。そして、「関係構築」。特に、「若手や、多種多様な採用形態の職員との関係構築」、「懇親会などの減少によるコミュニケーションの欠如」等、関係構築に苦心する姿が浮かび上がりました。3番目の質問項目「リーダーシップ講座で聞いてみたいこと」。まず、「リーダーに必要な資質」「内気な性格とリーダーシップ」など、リーダーとしてあるべき姿、取るべき行動といった質問が多く、更に、「リーダーシップとマネジメントの違い」「リーダーシップとパワハラの関係」「厳しいリーダーシップをどう発揮するのか」など、多岐に渡る質問をいただきました。また、若者との関係構築に関する質問も多く、「過去の経験が通用しない」「ハラスメントとのはざま」平成30年9月25日(火)開催上級管理 セミナー阪田 陽子 氏(フリーアナウンサー/公益財団法人 大原記念労働科学研究所 協力研究員)組織社会のリーダーシップ~人を動かす話し方~演題講師39 ファイナンス 2019 Jan.連 載 ■ セミナー

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