ファイナンス 2019年1月号 Vol.54 No.10
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ミット全体の議論の流れを形成しつつ積極的な役割を果たした。また、セッション2の「コンセンサスの構築(国際貿易,国際金融・課税システム)」では、総理の代理として麻生副総理兼財務大臣が発言し、現下の貿易を巡る情勢の解決に向けた政治的意思を示すことはG20が果たすべき責務であることを強調し、根本原因である市場歪曲的な措置の是正の必要性を訴えたほか、WTO改革に政治的な後押しを与えるべき旨主張した。2国際金融アーキテクチャについて国際金融アーキテクチャについては、力強く、効果的な国際金融機関は、成長及び持続可能な開発を支える助けとなること、また、強固で、クォータを基礎とし、かつ、十分な資金基盤を有する国際通貨基金(IMF)を中心としたグローバル金融セーフティーネットの更なる強化へのコミットメントが再確認された。また、新たなクォータ計算式を含む第15次クォータ一般見直しに関して、2019年春会合まで、遅くとも2019年年次総会までに完了することへのコミットメントが再確認された。IMF及び世界銀行に対し、公的及び民間の債務に関する記録、監視及び透明な報告を改善するために、債務国及び債権国と共に取り組むよう求めることが合意された。また、IMFによるプログラム・コンディショナリティ及びその債務上限政策に関する見直しへの期待が表明された。3低所得国における債務問題について低所得国における債務問題については、引き続き、公的債務・財政管理に関する能力構築を支援し、国内政策の枠組みを強化することにより、低所得国における債務脆弱性に対処するための措置をとることが合意され、また、債務の透明性及び持続可能性の促進に向けて取り組むとともに、債務者、及び公的・民間双方の債権者による、インフラ金融を含む持続可能な金融慣行の改善に向けて取り組むことが確認された。また、低所得国の債務に関するIMF、世界銀行グループ及びパリクラブによって現在行われている取組や、新興債権国のより幅広い参加に向けたパリクラブにおける継続した取組への支持が表明され、また、グローバル金融ガバナンスに関するG20賢人グループによる最終報告書が歓迎された。4国際租税について租税条約や移転価格ルールに基づいた、世界規模で公正、持続可能かつ現代的な国際課税システムのための取組を継続するとともに、成長志向の租税政策を推進するための国際協力が歓迎された。OECD/G20「税源浸食と利益移転(BEPS)」パッケージの世界的な実施は引き続き不可欠であるとの認識が示され、また、引き続き、経済の電子化が国際課税システムにもたらす影響に対処するため、2019年の進捗報告及び2020年までの最終報告書により、コンセンサスに基づく解決策を追求すべく共に取り組むとの認識が共有された。また、金融口座情報の自動的交換の開始が歓迎された。OECDによって構築された税の透明性基準を満足に実施していない法域を特定するための強化された基準の確認及び、リストに載った法域に対する防御的措置の検討が合意され、全ての法域は、多国間税務行政執行共助条約に署名し、それを批准すべきであるとの認識が示された。また、引き続き、税の安定性、及び「税に関する協働のためのプラットフォーム」を通じたものを含めた、開発途上国における税に関する能力構築の強化を支援することが合意された。麻生副総理兼財務大臣からは、セッション2にて、BEPSプロジェクトをはじめ租税回避・脱税への対抗に果たしてきたG20の役割に触れつつ、G20が取り組むべき喫緊の課題として、経済の電子化への課税上の対応等に言及した。5議長国閉会セッションでは、今般のサミットの議長であるマクリ大統領から議長を引き継ぎ、安倍総理から、明年6月28~29日に大阪で開催されるG20サミットに向けた意気込みを発信した。また、同日、麻生副総理兼財務大臣より、日本議長下財務トラックのビジョン及びプライオリティが発表され、「世界経済のリスクと課題の整理」、「成長力強化のための具体的取組」、「技術革新・グローバル化がもたらす経済社会の構造変化への対応」3つのテーマに注力することが示された。 ファイナンス 2019 Jan.24G20ブエノスアイレス・サミットの概要についてSPOT

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