ファイナンス 2019年1月号 Vol.54 No.10
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関税局総務課上席調査官 新家 稔裕/東京税関総務部税関広報広聴室長 上田 健二1はじめにまず、税関を巡る現状を見てみましょう。平成の30年間で、貿易額は2.7倍、輸出入許可件数は4.9倍、訪日外国人旅客数は何と12倍。経済社会環境が大きく変化する中、拳銃や覚醒剤などの社会悪物品や、金地金の密輸リスクがますます増大しています。また、G20大阪サミット、TICAD、ラグビーワールドカップ、来年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会といった大規模な国際イベントの開催が迫っています。本年には即位礼正殿の儀も予定され、円滑な通関とテロ対策の強化が求められています。加えて、昨年12月30日にはTPP11が発効し、日EU経済連携協定も本年2月1日に発効するところ、貿易の円滑化を担う税関の役割がますます重要となっています。このような状況を踏まえ、平成30年11月27日、麻生副総理兼財務大臣は、東京税関において、密輸摘発功績者大臣表彰式に出席し、密輸の摘発や事案の解明に貢献した税関職員を表彰するとともに、訓示を行い、その後、東京税関を視察し、水際で日々職務に励む税関職員を激励しました。(注) 昨年は明治150周年の節目であるとともに、名称を運上所から税関に統一してから146年でした。なお、この税関への名称統一は、1872年11月28日になされたことから、11月28日を「税関記念日」としています。例年、密輸摘発功績者大臣表彰式は、この「税関記念日」に合わせて開催されています。2平成30年度密輸摘発功績者大臣表彰式表彰式では、表彰対象の事例の紹介があり、麻生大臣はスクリーンに映し出された資料を見つつ、説明に熱心に耳を傾けました。その後、麻生大臣は登壇し、卓越した注意力、推理力により多量の薬物等を摘発した税関職員の代表3名に表彰状を授与するとともに、概要以下の訓示をしました。「歴史と伝統を有する税関を訪れ、皆さんがそれぞれの持ち場で士気高く業務に取り組んでいる姿を目にして大変心強く感じた。受賞者の皆様は、もてる能力・技術をいかんなく発揮され、密輸の摘発や事案の解明に貢献された。これらはまさに、税関の仕事が一朝一夕でできるものではなく、かなりの訓練を要する仕事であることの手本を示すものである。皆様方の日頃の努力に対し、深く敬意を表するものである。社会環境の変化により、社会悪物品等の密輸リスクは増大し、多くの国際的なイベントの開催も迫っている。更に、来年には即位礼正殿の儀も予定され、また、TPP11の発効などもある。こうした中、税関の役割はますます重要となっており、水際での法執行を担う税関に対する国民の期待は、一層高まっている。ますます増加する税関の業務量への対応をしっかり行っていく必要があるため、今後とも更なる体制整備を図っていく。その上で、皆さんも更麻生財務大臣の大臣表彰式出席・東京税関視察について11 ファイナンス 2019 Jan.SPOT

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