ファイナンス 2019年1月号 Vol.54 No.10
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※これらの内容を含めた、「仮想通貨に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」は国税庁のホームページで公表している。3仮想通貨の必要経費Q 仮想通貨の売却による所得を申告する場合、どのような支出が必要経費となりますか。A 仮想通貨の売却による所得の計算上、必要経費となるものには、例えば次の費用があります。●売却した仮想通貨の取得価額●売却の際に支払った手数料このほか、インターネットやスマートフォン等の回線利用料、パソコン等の購入費用などについても、仮想通貨の売却のために必要な支出であると認められる部分の金額に限り、必要経費に算入することができます。仮想通貨の売却による所得は、原則として雑所得に区分されますので、その所得金額は、総収入金額から必要経費を控除することにより算出します。この必要経費に算入できる金額は、(1)総収入金額に対応する売上原価その他その収入金額を得るため直接に要した費用の額及び(2)その年における販売費、一般管理費その他その所得を生ずべき業務について生じた費用の額です。なお、必要経費については、次の事項に注意してください。(1)パソコンなど、使用可能期間が1年以上で、かつ、一定金額を超える資産については、その年に一括して必要経費に計上するのではなく、使用可能期間の全期間にわたり分割して必要経費(こうした費用を「減価償却費」といいます。)とする必要があります。(2)個人の業務には、一つの支出が家事上と業務上の両方に関わりがある費用(こうした費用を「家事関連費」といいます。)については、取引の記録に基づいて、業務の遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合に限り、その区分した金額を必要経費に算入することができます。2仮想通貨をマイニングにより取得した場合Q 仮想通貨をマイニングにより取得した場合、その所得は所得税の課税対象となりますか。A仮想通貨をマイニングにより取得した場合、その所得は所得税の課税対象となります。所得税については、いわゆる「マイニング」(採掘)等により仮想通貨を取得した場合、その所得は、事業所得又は雑所得として課税対象となります。この場合、マイニング等により取得した仮想通貨の取得価額に相当する金額(時価)については所得の金額の計算上総収入金額に算入され、マイニング等に要した費用については所得の金額の計算上必要経費に算入されることになります。5仮想通貨取引で損失が生じた場合の取扱いQ仮想通貨取引による所得を計算したところ、損失が生じました。この損失を給与所得などの他の所得から差し引く(通算する)ことができますか。A雑所得の金額の計算上生じた損失については、給与所得など他の所得から差し引く(通算する)ことはできません。所得税法上、他の所得と通算できる損失は、不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得の金額の計算上生じた損失に限られます。雑所得については、これらの所得に該当しませんので、雑所得の金額の計算上生じた損失がある場合であっても、他の所得と通算することはできません。6仮想通貨の証拠金取引Q 仮想通貨の証拠金取引については、外国為替証拠金取引(いわゆるFX)と同様に申告分離課税の対象となりますか。A仮想通貨の証拠金取引は、申告分離課税の対象とはなりません。 仮想通貨の証拠金取引による所得については、申告分離課税の適用はありませんので、総合課税により申告していただくことになります。租税特別措置法上、申告分離課税(先物取引に係る雑所得等の課税の特例)の対象は、金融商品取引法等に基づき行われる(1)商品先物取引等、(2)金融商品先物取引等、(3)カバードワラントの取得とされています。外国為替証拠金取引(いわゆるFX)は、金融商品先物取引等に該当しますので、申告分離課税の対象となります。一方、仮想通貨の証拠金取引は、これらのいずれの取引にも該当しませんので、申告分離課税の適用はなく、その取引により得た所得については、総合課税により申告していただくことになります。4仮想通貨の取得価額の計算方法の変更Q昨年の申告では、売却した仮想通貨の取得価額を移動平均法で計算していましたが、計算が困難なため、本年の申告から総平均法に変更することはできますか。A今後の申告において「総平均法」を継続することを前提に、売却した仮想通貨の取得価額の計算方法を変更することができます。 ファイナンス 2019 Jan.10交換業者が年間取引報告書を交付仮想通貨の確定申告手続きを簡素化特集

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