ファイナンス 2019年1月号 Vol.54 No.10
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相続開始日の残高証明書を発行相続発生時の手続きも簡素化残高証明書の依頼方法は交換業者のHPで公開仮想通貨を保有する人に相続が発生した際の手続きについても簡素化を行っている。相続手続きを行う際には、被相続人が保有していた相続開始時点における仮想通貨の残高を証明しなければならないが、これまで統一的な手続き方法が整備されていなかった。そこで相続人等が交換業者に残高証明書等の交付依頼をすると、交換業者は相続開始日(死亡日)現在の仮想通貨残高等を記載した「残高証明書」等を交付する仕組みを整えた。交換業者は交付のための手続き方法について、ホームページで公開している。相続人は税理士と相談しながら「残高証明書」等を利用して相続税の申告書を作成・提出することができる。これにより、以前と比較し、仮想通貨の相続税の申告が簡素化している。こんなときはどうすればいい?仮想通貨の申告Q&A税務署(3)「残高証明書」等※の交付依頼(4)相続開始日(死亡日)現在の仮想通貨残高等を記載した「残高証明書」等を交付※「残高証明書」等には、被相続人の生前の取引履歴に関する「取引明細書」も含む。(5)「残高証明書」等に記載の仮想通貨の残高等に基づき、相続税の申告書を作成・提出(5)’税理士に相談(「残高証明書」等の提示)(2)仮想通貨を相続等(1)生前に仮想通貨を取引被相続人交付手続をHPで公表税務署税理士相続人等仮想通貨交換業者図表8 相続手続きの簡素化の内容 ― 今後の申告までの手順等1仮想通貨の分裂(分岐)により仮想通貨を取得した場合Q仮想通貨の分裂(分岐)に伴い、新たに誕生した仮想通貨を取得しましたが、この取得により、所得税の課税対象となる所得は生じますか。A仮想通貨の分裂(分岐)により新たに誕生した仮想通貨を取得した場合、課税対象となる所得は生じません。所得税法上、経済的価値のあるものを取得した場合には、その取得時点における時価を基にして所得金額を計算します。しかしながら、ご質問の仮想通貨の分裂(分岐)に伴い取得した新たな仮想通貨については、分裂(分岐)時点において取引相場が存しておらず、同時点においては価値を有していなかったと考えられます。したがって、その取得時点では所得が生じず、その新たな仮想通貨を売却又は使用した時点において所得が生ずることとなります。なお、その新たな仮想通貨の取得価額は0円となります。9 ファイナンス 2019 Jan.

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