ファイナンス 2018年12月号 Vol.54 No.9
81/86

各地の話題1はじめに南(ぱい)の島々八重山諸島は、島しょ県である沖縄県の中でも、沖縄本島からさらに南西約400~500kmに位置しており、温暖な気候、サンゴ礁の海や亜熱帯性の動植物などの自然環境に恵まれ、また、国内外から訪れる観光客も好調に推移するなど、活気に満ちています。このようななか、八重山諸島の医療を支える「沖縄県立八重山病院」が、平成30年10月に新築移転し、この地域の新たな医療拠点としてスタートしました。本病院の整備にあたっては、国有地が活用されましたので、以下においてご紹介します。2新県立八重山病院整備の背景沖縄県石垣市に所在する沖縄県立八重山病院は、八重山諸島における地域の中核的な医療拠点として重要な機能を担い、国境離島を含む有人離島住民の健康と生命を守ってきました。その一方で、これまでの八重山病院の施設・建物は、建築から30年以上が経過し、施設の老朽化や、繰り返された増改築による非効率な動線等も問題となって、安定的な医療提供に影響を及ぼすことが課題となっておりました。そこで、沖縄県病院事業局は、整備コストや医療リスクの検討等を踏まえ、八重山病院の新築移転方針を決定したほか、平成26年には「新県立八重山病院整備基本計画」を策定しました。写真1 沖縄県立新八重山病院(正面より)3国有地の活用折しも、時期を前後して石垣空港が市内の別地へ移転し、「新石垣空港」が開港しましたが、一方でこの旧石垣空港があった跡地は、広大な国有地を有しております。当該旧石垣空港にかかる跡地利用については、平成24年に国、県、石垣市の関係機関によって設置した、「旧石垣空港跡地利用連絡協議会」のなかで検討が重ねられてきたところですが、石垣市が策定した旧石垣空港跡地利用計画において、当該地が新八重山病院の移転先に位置付けられたことや、地元からの要望等も相まって、旧石垣空港跡地内の国有地が新八重山病院の予定地(用地の一部は県有地)となりました。その後、平成26年6月の国有財産沖縄地方審議会の審議等を経て、平成27年6月に沖縄県病院事業局と国との間で売買契約が締結されました。地域の中核病院に 国有地を活用沖縄総合事務局八重山財務出張所長仲里 祥八重山諸島 ファイナンス 2018 Dec.77連 載 ■ 各地の話題

元のページ  ../index.html#81

このブックを見る