ファイナンス 2018年12月号 Vol.54 No.9
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担たん担たん混まぜ麺めん 紅くれい麗【東銀座】フードトラックだと侮ることなかれ!垂涎ものの絶品「担担混麺」を繰り出す『紅麗』店舗のロケーションは、メトロ日比谷線東銀座駅6番出口から徒歩2分弱。駅の改札をくぐり地上に出れば、『歌舞伎座』と並ぶ東銀座のランドマーク的存在として知られる『東劇ビル』が目の前に聳え立つ。そんな『東劇ビル』を左手に見やりながら少し歩を進めると、やがて、漆黒のフードトラックが視界に飛び込んでくるだろう。それが、本年11月1日にグランドオープンを果たした『担担混麺紅麗』だ。同店は、東京都北区の名店『麺処ほん田本店』のグループ店。手掛けるのは、『麺処ほん田』の人気限定メニュー『汁なし担々麺』を更にブラッシュアップさせた1杯。同メニューのレシピは、ラーメン作りの天才と謳われる『ほん田』グループの社長・本田氏自らが認めたもの。なので、メニューの完成度の高さは、一般的にイメージされるフードトラックのB級グルメなどとは次元を異にしている。芝麻醤・挽き肉・タレから、ラー油に至るまで、ありとあらゆるアイテムが手造り。熟成期間が異なる2種類の豆板醤を用い、奥行きと厚みを兼ね備えたうま味を構築するなど、長年実力店として君臨し続けてきた『ほん田』ならではのギミックもフルに活かされる。「ラー油には、数種類の唐辛子・スパイスのほか、揺るぎのない骨太なうま味を生み出すため、香味野菜も溶け込ませています」。凄まじいこだわりようだ。ラー油・唐辛子に起因する「辣」の辛みと中国山椒・山椒油に起因する「麻」の辛みの双方を組み合わせた汁なし担々麺は、昨今においては、それほど珍しい存在ではない。だが、痺れに負けない鮮やかな香りを持った山椒を選び抜き、黒酢を本場・中国から取り寄せる店舗が、世の中に一体どれだけあるだろうか。私が知る限りにおいては、そんな店は、同店を含めて軸足がぶれない骨太なうま味を生み出すために、片手で数えられる程しか存在しない。労を厭わずに、手を抜いてしまいがちなポイントを着実に押さえ、他店と一線を画したクオリティを実現する。こちらの「担担混麺」を戴くと、そんな地道な努力の大切さを、改めて思い知らされる。合わせる麺もまた、秀逸だ。モッチリとした食感と滑らかな啜り心地とが食べ手に鮮烈な印象を刻む『心の味食品』の中太ストレートを採用。担々ソースをガッツリと絡め取り、寸分の過不足なく口元へと運び込む見事な仕事ぶり。ひと口啜ったが最後、箸を持つ手が止まらなくなってしまうだろう。麺量を尋ねると「180gです」という答えが返ってきた。テイクアウトを想定したフードトラックの1杯としては、十分すぎるほどのボリューム。『ほん田』グループの気合いが随所から垣間見える、新鋭『紅麗』の「担担混麺」。足を運ぶのであれば、ブレイクする前の今が絶好のチャンスだ。(店舗情報)住所:中央区築地4-1-20 AKINAI銀座内電話番号:非公開営業時間:11:00~14:30、17:00~21:45定休日:無休プロフィールラーメン探究家 かずあっきぃ(田中 一明)1972年11月生まれ。学生時代に出逢った1杯のラーメンに感銘を受け、1995年より本格的な食べ歩きに着手。「ラーメンの魅力の探究」をライフワークとし、年間700杯以上のラーメンをコンスタントに実食。総食杯数は12,000杯を超える。日本全国のラーメン事情に通暁し、各種媒体にラーメン情報を精力的に発信。坦坦混麺&温泉玉子 ファイナンス 2018 Dec.69かずあっきぃのラーメン探訪記連 載 ■ かずあっきぃのラーメン探訪記

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