ファイナンス 2018年12月号 Vol.54 No.9
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巻頭言誰もがやりたいことを 実現できる世の中をつくるREADYFOR株式会社 代表取締役CEO米良 はるか2011年3月に日本初のクラウドファンディングサービス「Readyfor(レディーフォー)」をスタートさせました。クラウドファンディングとは、事業アイデアや、社会的な取り組みに対して、インターネットを通じて、それぞれに対して共感した不特定多数の支援者から資金を集める仕組みです。Readyforは支援者に対してモノや権利などでお返しする「購入型」、寄付控除を受けることができる「寄付型」の仕組みを提供しており、「担保がないと借りられない」、「事業成長を約束できないとお金を手に入れられない」という制約なく、支援金を募ることができます。その仕組みによって、既存の融資や投資などの金融サービスではお金が流れにくい分野であるNPOや医療機関、科学研究分野その他公共セクターや、創業マーケットに資金調達の手段になってきています。Readyforでは、各プロジェクトに「目標金額」を設定しており、目標金額を超えた場合のみ資金を受け取ることができる「All or Nothing」形式で支援金を集める仕組みになっています。サービススタートから約7年間で9,000件以上のプロジェクトを掲載し、70億円以上の支援金を集め、日本最大級のクラウドファンディングサービスとして成長しています。キュレーターと呼ばれる担当者が各プロジェクトにつき、マンツーマンでサポートを行っており、プロジェクトの目標金額達成率は約75%と業界最高水準となっています。いくつか代表的なプロジェクトについてご紹介をします。2017年9月には国が指定する小児がん拠点病院でもある国立成育医療研究センターがプロジェクト実行者となり「小児がんと戦う、みんなの願い。不足する無菌室をつくろう!」というプロジェクトを実施しました。プロジェクト公開から4日で目標金額である1,500万円を集め、最終的には1,861名から3,100万円を超える資金が集まり、無事に無菌室をつくることができました。1口3,000円から支援に参加することができ、このプロジェクトでは200万円のご支援をしてくださった方がいらっしゃいました。他にも秋田の女性起業家が行なった「一口ごひいきさん募集!元料亭を改修し秋田美人に会える茶寮OPEN」というプロジェクトでは1,400万円以上の支援が集まりました。このプロジェクトでは金融機関の融資と併用し、融資ではカバーできない部分をクラウドファンディングで資金を集めることに成功しました。また支援金を出してくださった支援者にはご芳名権や秋田舞妓を鑑賞できるペアチケットなどをリターンに入れ、「まだオープンしていないお店だけどすでにファンがいる状態」をつくることができました。また2016年12月には返礼品ではなく、地域の魅力を発信することでふるさと納税」を集めることができる、自治体向けクラウドファンディングサービス「Readyfor ふるさと納税」を開始。2017年1月に大学向けクラウドファンディング サービス「Readyfor College」をリリースし、すでに筑波大学、東京藝術大学をはじめとして国立大学7大学との包括提携を実施し、クラウドファンディングを活用した研究費獲得のサポートしています。今後も弊社では、テクノロジーとビジネスアイデアを用いて、短期的な利潤の追求だけからは生まれない、「社会を持続可能にする新たな資金流通メカニズムの確立すること」を目指し、邁進していきます。ファイナンス 2018 Dec.1財務省広報誌「ファイナンス」は、こちらからご覧いただけます。

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