ファイナンス 2018年12月号 Vol.54 No.9
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らか、といった質問がありました。消費税率引上げについては、景気の停滞や経済的弱者の負担増といった弊害があるといった意見や、税率を10%にしたとき私たちの生活はどう変わるのか、消費税以外でどのような税を引き上げて歳入の確保を考えているのか、といった質問がありました。【伊佐大臣政務官から】消費税についてですが、社会保障はみんなで負担していこうという観点から、高齢者も若い世代も子どもの世代も社会全体で今の社会保障を支えるというのが消費税の意味であり、若者にとっては働く世代に集中する負担を少し広く薄くするという意味があります。消費税率が10%になって何のメリットがあるのか、何になって返ってくるのかということですが、消費税の増税分の使い方ははっきりと決まっています。まずは教育。来年10月から日本全国の幼稚園、保育園、認可外も全部含めて、すべての3歳から5歳児が無料となります。大学であれば、返済の必要のない給付型奨学金を充実させ、対象者・金額の拡大を検討しています。もちろん、介護・年金にも使うこととされており、例えば介護の現場に人が集まるように処遇を改善するための財源ともなります。財政再建 財政の課題に大学生が取り組むべきことは新たな借金はこの先何年もかけて返済していくことになり、今の若者世代の将来負担が増えてしまうが、大学生である私たちが国の財政課題のためにできることは何か、といった質問や、財政の問題について国民一人ひとりが予算の使い道を考えなければならない時代であることを知った、との声も寄せられました。【伊佐大臣政務官から】皆さんから、国の財政の今の状況に対して自分にいったい何ができるのだろう、と自分のこととしてとらえて質問していただけるというのは、財務省の一員として、政府の一員としてありがたいな、と思っています。若者に何ができるかということですが、まずは皆さんが健康で長生きすること、働きたい人は生き生きと働いていただくことが重要です。病気になったり介護が必要な方々に対してはもちろん国はしっかりとサポートしますが、一番良いのは自分が病気にならないことです。その上で、働きたいという方はしっかりと働いて世の中を支えていただき、また、結婚して子どもを育てたい方には子どもを育てていただいてというような、皆さんが生き生きすることが国にとってありがたいことだと考えています。社会保障 年金について財政赤字の中、60歳から給付を受けられた年金も65歳まで引き上げられた経緯を踏まえると、社会保障費の削減のためには、この先、年金が受けられる年齢が70歳になってもおかしくない、といった意見がありました。他方、私たちが高齢者になって年金を受給するようになった場合、現在の高齢者と比較するとどれくらいの金額になるのか、といった将来を不安視する意見もありました。34 ファイナンス 2018 Dec.SPOT

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