ファイナンス 2018年12月号 Vol.54 No.9
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いることを述べた。また、質の高いインフラ投資の重要な構成要素というものは、既に2016年に行われた杭州サミットの首脳宣言で謳われており、これをアップグレードして実行に移すための色々な道具を揃えていくことがG20の課題であり、今後の積極的な議論を期待したい、と発言した。Compact with Africaのセッションでは、麻生大臣より、アフリカの持続的な成長のためには、アフリカ諸国が安定的なマクロ経済運営を確保しつつ、投資環境の改善や民間投資の促進等の長期的な取り組みを進めることが重要であり、この点に適切に焦点を当てたCompact with Africaの取り組みを日本は支持するという旨、発言した。GPFIのセッションでは、麻生大臣がリードスピーカーを務めた。G20の主要な課題に対する金融包摂の持つ意義は極めて大きく、GPFIの成果物をG20のアジェンダに沿ったものにする必要があること、またこのためにもガバナンスの向上は必要、極めて重要であり、組織合理化を支持する旨、発言した。2国際通貨金融委員会 (2018年10月13-14日)国際通貨金融委員会(注)においては、世界経済の動向等について議論が行われた。(注) 国際通貨・金融システムに関する問題についてIMFに助言及び報告することを目的として1999年に設立。以降、春・秋の年2回開催。今回は第38回目。麻生大臣からは、世界経済が引き続き堅調に推移する中、その成長は一部の先進国では2018年にピークを迎えるなど、ばらつきが見られること、また、リスクは下方に偏っており、一部のリスクは既に顕在化していること、特に、新興国からの資本流出と貿易摩擦が大きな下方リスクとなっている旨、発言した。足元の日本経済の状況に関しては、アベノミクスの成果が着実に上がり、ファンダメンタルズは堅調であることを述べ、日本経済の最大の難関である少子高齢化の克服に向けて、本年6月に「新経済・財政再生計画」を策定し、財政健全化目標として、2025年度のプライマリーバランス黒字化を目指すことなどを掲げたこと、計画に沿った歳出改革等に真摯に取り組むことで、この目標の達成を確かなものとしていく旨、発言した。公表された共同声明においては、「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得ることを認識する」等、我が国の主張に沿った記述が引き続き盛り込まれた。また、IMFの業務面では、グローバル金融セーフティ・ネットにおけるIMFの中心的役割を維持するための、強固で、クォータを基礎とし、かつ、十分な資金基盤を有するIMFへのコミットメントが再確認され、第15次クォータ一般見直しを2019年春会合まで、遅くとも2019年年次総会までに完了させるよう迅速に取り組むことも再確認された。 IMFCファミリーフォト IMFCファミリーフォト30 ファイナンス 2018 Dec.SPOT

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