ファイナンス 2018年12月号 Vol.54 No.9
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(参考1)我が国のAEO制度の概要特定輸出者制度税関長の承認を受けた輸出者(AEO輸出者)について、保税地域に貨物を入れることなく輸出申告を行い、許可を受けることを可能とする制度(2006年3月導入)。AEO輸出者が行う輸出申告においては、審査・検査率が軽減されるとともに、貨物の蔵置場所に関わらず、いずれの税関長に対しても輸出申告が可能とされている(輸出申告官署の自由化)。特例輸入者制度税関長の承認を受けた輸入者(AEO輸入者)について、通常の輸入手続では、原則として貨物の輸入(引取)申告と納税申告を同時に行い、納税後に輸入許可を受け、国内に貨物を引き取るところ、輸入(引取)申告と納税申告を分離して行うこと(特例申告)を可能とする制度(2007年4月導入)。具体的には、輸入(引取)申告を行い、貨物を国内に引き取った後、翌月末日までに納税申告(特例申告)及び関税等の納付をまとめて行うことが可能である。また、AEO輸入者が行う輸入申告においては、審査・検査率が軽減されるとともに、貨物の蔵置場所に関わらず、いずれの税関長に対しても輸入申告が可能とされている(輸入申告官署の自由化)。特定保税承認者制度税関長の承認を受けた保税蔵置場等の被許可者(AEO倉庫業者)について、税関長の許可に代え、届出により保税蔵置場等の設置を可能とする制度(2007年10月導入)。届出によって設置された保税蔵置場等については、保税地域許可手数料が免除されるとともに、保税蔵置場等に係る税関の立入検査率が軽減されることとなっている。認定通関業者制度税関長の認定を受けた通関業者(AEO通関業者)について、通関手続の特例措置を講じる制度(2008年4月導入)。AEO通関業者に輸入手続が委託された場合、AEO輸入者以外の輸入者についても、AEO輸入者が行う特例申告と同様、輸入申告と納税申告を分離して行い、貨物を国内に引き取った後、翌月末日までに納税申告及び関税等を納付することが可能(特例委託輸入申告)。また、AEO通関業者に輸出手続が委託された場合、AEO輸出者以外の輸出者についても、申告に係る貨物が置かれている場所から開港等までの運送を後述するAEO運送者が行うことを条件に、保税地域へ搬入することなく輸出許可を受けることが可能(特定委託輸出申告)。さらに、AEO通関業者に委託された輸出入手続について、貨物の蔵置場所に関わらず、いずれの税関長に対しても輸出入申告が可能とされている(輸出入申告官署の自由化)。特定保税運送者制度税関長の承認を受けた運送者(AEO運送者)について、税関長の承認を受けることなく外国貨物の運送を行うこと、また、AEO通関業者が特定委託輸出申告を行う場合に要件となっている「申告に係る貨物が置かれている場所から開港等までの運送」を受託することを認める制度(2008年4月導入)。認定製造者制度税関長の認定を受けた製造者(AEO製造者)が製造した貨物を取得した輸出者(特定製造貨物輸出者)がその貨物を輸出しようとする場合、保税地域等に搬入することなく輸出申告を行い、許可を得ることを可能とする制度(2009年7月導入)。また、AEO製造者の輸出申告において、貨物の蔵置場所に関わらず、いずれの税関長に対しても輸出申告が可能とされている(輸出申告官署の自由化)。(参考2)輸出入申告官署の自由化貨物の輸出入申告は、通関の適正性を確保するとともに、効果的・効率的な審査・検査を確保するため、原則として、蔵置官署(貨物が置かれている保税地域等を管轄する税関官署)に対して行うこととされている。他方、貨物の場所に関わらず、いずれの税関官署に対しても輸出入申告を行うことを可能とすれば、関連事業者の事務の効率化やコスト削減を図ることが可能となり、貿易円滑化に資することとなる。このため、2017年10月、輸出入に関する業務を適正かつ確実に遂行する能力を有する者として税関長の承認・認定を受けた者であるAEO輸出入者、AEO通関業者及びAEO製造者について、いずれの税関官署に対しても輸出入申告を行うことができることとした。また、申告官署の自由化に伴い、通関業者の営業区域を各税関の管轄区域内に制限する規定を廃止するなど、通関業制度について必要な見直しを行った。輸出入申告官署の自由化について自由化【自由化後】申告貨物(AEO)輸出入者(※)X税関A官署Y税関B官署蔵置官署(X税関)(※)「輸出入者」「通関業者」「製造者」のいずれかがAEOである場合。申告(選択可能)(AEO)通関業者(※)(AEO)通関業者(※)非蔵置官署(Y税関)【従来】貨物輸出入者X税関A官署Y税関B官署蔵置官署(X税関)通関業者非蔵置官署(Y税関)28 ファイナンス 2018 Dec.日中AEO相互承認取決めの署名SPOT

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