ファイナンス 2018年12月号 Vol.54 No.9
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のため、開始時期や相互承認の利用方法についての対外的な周知を積極的に行う予定である。我が国企業が中国において通関迅速化のベネフィットをより早く享受できるよう、取決めの早期実施に向けた作業を両国税関当局間で鋭意進めているところである。5おわりに国際物流の高度化に伴い、企業間競争が激化する中で、我が国企業にとっては生産の効率化、流通在庫及び物流コストの圧縮が国際競争力を強化する観点から重要となっており、迅速かつ円滑な通関に対して引き続き強い要請がある。他方、来年2019年には、G20大阪サミット、TICAD(アフリカ開発会議)、ラグビーワールドカップ、2020年には東京オリンピック・パラリンピック競技大会といった多くの大規模な国際行事を我が国においてホストすることとしている。また、皇太子殿下ご即位に際して即位礼正殿の儀も控えており、税関では、水際でのテロ対策がますます重要な課題となっている。このような状況において、AEO制度の適正な運用に努め、相互承認取決めを通じて諸外国と連携しつつ、一層安全かつ円滑な通関の実現をより確かなものとすることが、税関当局にとって重要と考えられる。今後とも、財務省関税局・税関が推進するAEO制度について、ご理解・ご協力をお願いしたい。(文中、意見にわたる部分は、筆者の個人的見解です。)【中関税局長と倪中国海関総署長との意見交換】北京でのAEO相互承認取決め署名式後、中関税局長は中国海関総署を訪問し、倪中国海関総署長と意見交換を行った。財務省関税局と中国海関総署は、局長級会合を定期的に行うとともに、2006年に署名した日中税関相互支援協定に基づく恒常的な情報交換をはじめ、人材育成を通じた協力、地方税関レベルでの交流等も含め、様々なレベルで協力関係が維持されている。総理秘書官としても訪中経験のある中関税局長と、初の海外渡航先となった日本で青年友好プログラムに参加した経験のある倪総署長。和やかな雰囲気のなか、両国の税関当局トップが、直面する課題について認識を共有し、率直な意見交換が行われるとともに、問題の解決に向け相互に協力することを確認した。また、AEO相互承認取決めの早期実施に向け、双方で実務的な作業を迅速に進めることについても確認。日中税関当局間の更なる関係強化のための機会となった。中国海関総署にて(左)中関税局長 (右)倪中国海関総署長 ファイナンス 2018 Dec.27日中AEO相互承認取決めの署名SPOT

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