ファイナンス 2018年12月号 Vol.54 No.9
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主計局総務課主計官 寺岡 光博1補正予算成立までの経緯1.近年、我が国においては、自然災害が相次ぎ、全国で大きな被害が発生しており、政府として被災地への対応を速やかに行うとともに、そのための財政面での措置についてもしっかりと対応することが求められている。一昨年の熊本地震、昨年の九州北部豪雨に続き、本年も、大阪北部地震、平成30年7月豪雨、台風第21号、北海道胆振東部地震などが発生し、列島に甚大な被害をもたらした。また、猛暑による熱中症の被害も相次いだ。2.政府としては、・ 平成30年7月豪雨について、発災後直ちに緊急物資支援を実施するため予備費20億円の使用を決定するとともに、被災者の方々の生活と生業の再建に向けた支援パッケージをとりまとめ、それに基づいて2段階に分けて予備費の使用を決定した。具体的には、生活の再建のための被災者生活再建支援金の支給、生業の再建のための中小企業グループ補助金や農業用ハウス等の復旧のほか、河川の浚渫等といった緊急対応を行うこととし、このため、8月3日には予備費第一弾として1,058億円、9月7日には第二弾として616億円を使用した。・ 北海道胆振東部地震についても、発災後直ちに緊急物資支援を実施するため予備費5億円を使用した。また、台風第21号及び北海道胆振東部地震について、9月28日に支援策を取りまとめ、まずは、被災者生活再建支援金の支給やふっこう割等を実施するため、同日中に予備費153億円の使用を決定した。このように、本年夏以降、度重なる災害の発生に対しては、被災者の方々が1日も早く安心して生活できるよう、予備費等を活用して速やかな対応を進めてきた。3.こうした状況の下、本年10月2日、安倍総理より補正予算を編成するよう指示がなされた。そこでは、・ 大阪北部地震、平成30年7月豪雨、台風第21号、北海道胆振東部地震などにより被害を受けた地域の復旧・復興のため、速やかに補正予算を編成し、・ 公立小中学校等の施設について、熱中症対策としての各学級へのエアコン設置や、倒壊の危険性のあるブロック塀改修等についても、緊急に予算措置を講ずるとの方針が示された。平成30年度補正予算(第1号)は、こうした総理指示に基づいて編成され、10月15日の概算閣議決定を経て、10月24日に国会へ提出された。その後、国会での御審議を経て、11月7日に成立した。2平成30年度補正予算(第1号)の概要1.本補正予算では、一連の災害被災地の復旧・復興や、学校の緊急安全確保対策に必要な経費を計上するとともに、今後の災害対応等を念頭に予備費を追加することとしており、その具体的内容は以下の通りである。(1)災害からの復旧復興(7,275億円)(ア)平成30年7月豪雨への対応(5,034億円)水害によって生じた廃棄物やがれきの処理など生活の再建に必要な経費367億円、被災中小企業者等への資金繰り支援など生業の再建のための経費1,985億円のほか、河川や道路などの応急復旧に要する経費2,319億円などを計上している。平成30年度補正予算(第1号)の概要について ファイナンス 2018 Dec.15SPOT

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