ファイナンス 2018年11月号 Vol.54 No.8
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納税者の声に応え e-Taxの利用方法を拡充e-Taxの利用率は2006年以降に急激に上昇したとはいえ、特に個人の利用についてはこのところ、50%強の状態で横ばいが続いています。さらに利用率の向上を目指すため、2019年1月から、個人向け利用方法の拡充を行う予定です。現行方式は、e-Taxを利用するには、まず納税者が住所地の自治体でマイナンバーカードを取得する必要があります。その上で開始届出書に必要事項を記載の上、納税地を所轄する税務署長に提出をします。「e-Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナー」を利用して、オンラインで開始届出書を送信することも可能です。これにより、税務署からe-TaxのID(利用者識別番号)とパスワードが発行されます。開始届出書をオンラインで提出した場合は、ID・パスワードはオンラインで発行(通知)され、書面で提出した場合は、後日、税務署からID・パスワードが記載された通知書が送付されます。これで準備は完了です。実際に申告をする際には、申告データの改ざん防止のため、マイナンバーカードに組み込まれている電子証明書をe-Taxに登録しなければなりません。それには、ICカードリーダライタが必要です。このように納税者がICカードリーダライタを準備しなければならないことが、利用率が横ばいになっている原因の一つだと考えられます。実際に納税者にアンケート調査をしてみると、e-Taxを利用しない理由として、「マイナンバーカードの取得は手間がかかる」と「ICカードリーダライタがどこで売っているかわからない」という声が多く聞かれました。2つの方法から 納税者に合った方法を選択できるそこで2019年1月からは、現状方式を改め、2つの方式でe-Taxがより簡単に利用できるようになります。一つ目の方法は「マイナンバーカード方式」と呼ばれるもので、これまで通りマイナンバーカードの取得が必要となります。しかし、これまでのように、開始届出書を提出してID・パスワードを取得する必要はなくなります。マイナンバーカードがあれば、そのままe-Taxが利用できるのです。そもそもe-TaxのIDは数字の16桁で非常に覚えづらい面がありました。とくに個人の申告は、年に1回であるため、覚えるのは大変です。また、パスワードも英数字を組み合わせて8文字以上50文字以内で設定することになっており、管理するのが煩雑になっていました。この部分を改善したのが「マイナンバーカード方式」です。マイナンバーカードには、利用者自身を証明する証明書と、電子申請等をする際に利用する電子署名用の証明書の二つの証明書が記録されています。このうち、前者の証明書を使うことでe-TaxのIDとパスワードの入力を不要としたものです。もう一つは「ID・パスワード方式」です。政府はマイナンバーカードの利用を推進しているところでもあり、e-Taxにおいても「マイナンバーカード方式」の普及に力を入れていますが、申告データを送付する際に、電子署名を付すためのカードリーダライタが必要であるなどのデメリットもあります。そのためにe-Taxの利用が進まないのでは意味がありません。「ID・パスワード方式」では、マイナンバーカードを利用せずに手続ができます。新たにID・パスワード方式を導入し事前準備の手間を大幅に軽減国税庁の確定申告書等作成コーナー※2019年1月に公開予定のトップページ4 ファイナンス 2018 Nov.

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