ファイナンス 2018年11月号 Vol.54 No.8
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池田平家一族の衰話を秘める秘境“祖谷”。シラクチカズラ(蔓)で作られた橋が旅愁を誘います。古の渓谷を渡る唯一の交通手段であり、多くのかずら橋が架けられていたようです。新緑の初夏、紅葉の秋には、県内外から多くの観光客が訪れ、おっかなびっくり渡る様子が、テレビなどで映し出されています。〔奥祖谷観光周遊モノレール〕紅葉の季節に、ゆったりのんびり進むモノレールで森林浴はいかがでしょうか。「祖谷のかずら橋」から剣山方面へ車で約50分走ったところに「奥祖谷観光周遊モノレール」があります。モノレールといっても2人乗りで、約4分おきに発車し、乗車時間は約65分です。全長4,600m、高低差590m、最大傾斜度40度、最頂標高1,380mは、観光用モノレールとしては世界一を誇ります。〔四国酒まつり〕南に剣山山系、北に阿讃山脈を望む山あいの盆地特有の冬場の冷え込みが厳しい気候を生かし、古くから日本酒の産地として栄えていました。現存する酒蔵は4件ですが、昭和15年頃には、少なくとも二十数件の酒蔵が存在し、「四国の灘」と称されていました。そんな歴史的・文化的にも優れた酒蔵の集積を地域振興に生かそうと、四国の銘酒を一堂に集結した地酒試飲会と地元酒蔵の酒蔵開放からなる交流イベントとして、平成12年に誕生しました。例年2月に開催され、四国中から40銘柄を超える銘酒がズラリと並びますので、日本酒好きにはたまらないイベントとなっています。 管内のグルメ〔祖谷そば〕そばを食す!と言いますと、一般的には「ざるそば」を思い浮かべるのではないでしょうか。細くて長く、濃い出汁に浸けて食べるそばも美味しいですが、管内では、こんぶや煮干しで出汁をとったかけつゆで食べる「祖谷そば」をよく食します。平家落人の隠れ里である祖谷地方に古から伝わる在来種のそば粉を使った太打ちで、一般的なそばには無い深い味わいがあり、祝宴料理としてかかせないものとなっています。 おわりに三十数年前には高校野球の池田高校「山びこ打線」で全国的に有名になりましたが、今日ではラフティングやウェイクボードの世界大会が開催され、平日にもインバウンドで訪れる国際的に有名な地域となりました。これからも四国の中心(へそ)として発展を続ける秘境へ、ぜひお越しください。(写真提供:三好市教育委員会、三好市観光協会)72 ファイナンス 2018 Nov.連 載 ■ 各地の話題

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