ファイナンス 2018年11月号 Vol.54 No.8
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麺屋ひょっとこ銀座店【銀座】東京交通会館地下の実力店が堂々銀座に凱旋!2号店の雰囲気は徹底的にアーバン1965年(昭和40年)に創業し、昭和後期における銀座のランドマークとして同地を訪れる人達に愛されてきた「東京交通会館」。同会館は、平成に入りJR有楽町駅前の再開発が進んでもなおその地に在り続けてきた。今では、パスポートを更新するために訪れる場所として認識されている方も多いだろう。そんな交通会館のB1フロアには実力派老舗レストランが軒を連ねるレストラン街が存在。交通会館外の飲食店よりもリーズナブルな価格でハイレベルな料理を提供することを売りに、おしなべて高い人気を獲得している。今回紹介させていただく『麺屋ひょっとこ銀座店』は、そんな交通会館B1フロアの飲食店の中でも指折りの実力を誇る『麺屋ひょっとこ』の2号店だ。さて、こちらの『麺屋ひょっとこ銀座店』は、本年6月、銀座コリドー街にほど近い細い路地沿いにオープン。銀座を代表する日本蕎麦の名店のひとつ『泰明庵』のすぐ隣と言えば、場所がイメージできる方も多いのではないだろうか。同店の外観は、ラーメン食べ歩きの経験を重ねた私でさえ思わず「これはオシャレ!」と驚嘆の声を発してしまうほどスタイリッシュ。店内の様子を包み隠さず映し出すガラス張りの外観は、『麺屋ひょっとこ』のロゴがなければ、ラーメン専門店だと分かる人は皆無に近いだろう。そのロゴすらも殊更小さく控えめに描かれ、予備知識がなければ、同店をラーメン店だと認識することさえ困難だ。昭和的で何の装飾もない半屋台的店構えを特徴とする本店と方向性が真逆なのが、実に趣深い。ここまで極端だと誰にだって察しが付く。間違いなく、ラーメンを提供する空間を意図的に変えているのだと。他方、提供するラーメンの味は、本店のそれを頑なに踏襲する。看板メニューである「和風柚子柳麺」は、本店でも最も高い人気を誇るメニュー。値段も相変わらず良心的。銀座の一等地に店を構える割には730円と、驚くほど低価格だ。「和風柚子柳麺」を注文し、スープをひと啜り。透明感のある塩ベースの清湯スープは、サラリと滑らかな口当たりが確実に好印象を刻む盤石の味わい。じっくりと炊き込んだ鶏ガラ出汁に、うま味成分を十二分に引き出した昆布・カツオ出汁を合わせたスープは、かつて『ひょっとこ』がきしめん屋さんだった頃のノウハウを活かしたもの。「和」の滋養味を過不足なく表現し、塩ダレの力強いうま味に競り負けない厚みのあるボディを創り出す実力の高さは、こちらの『銀座店』でも健在。本店で培われた経験が、しっかりと2号店へと継承されていることが看て取れた。食べ進めるにつれてスープに絶妙な清涼感を添える柚子、うま味豊かなスープを存分に巻き上げ口元へと運び込む中細ストレート麺など、スープ以外のアイテムの出来映えも秀逸。オープンしてまだ日が浅く本店と較べて認知度が低いため、原則として並ばずに入店できることも『銀座店』の魅力のひとつ。足を運ぶのであれば、今がチャンスだ!(店舗情報)住所:中央区銀座6-3-15 銀座昭和イーティングビル1F電話番号:03-6263-8757営業時間:11:00~21:00土曜日:11:00~17:00定休日:日曜・祝日プロフィールラーメン探究家 かずあっきぃ(田中 一明)1972年11月生まれ。学生時代に出逢った1杯のラーメンに感銘を受け、1995年より本格的な食べ歩きに着手。「ラーメンの魅力の探究」をライフワークとし、年間700杯以上のラーメンをコンスタントに実食。総食杯数は12,000杯を超える。日本全国のラーメン事情に通暁し、各種媒体にラーメン情報を精力的に発信。 ファイナンス 2018 Nov.67かずあっきぃのラーメン探訪記連 載 ■ かずあっきぃのラーメン探訪記

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