ファイナンス 2018年11月号 Vol.54 No.8
7/84

また、法人の場合には、日々の会計処理のために会計ソフトを導入しているケースが多いと考えられますが、民間のソフトベンダーがe-Tax対応の会計ソフトを提供しており、それらを利用することで、日々の会計処理から申告、納税という一連の操作を電子的に行うことができます。さらにペーパーレス化ができるメリットもあります。一方で税務行政の効率化のメリットも少なくありません。これまで申告書を紙で受付けると税務署内で入力してデータ化する必要がありました。納税者が電子的に手続をすることで、この入力作業が省力化されます。また、紙の申告書は整理、保管、廃棄に相当な業務量が発生します。最初から電子データであれば、これら業務量もかなり削減できます。また、申告の内容は、地方税の賦課決定のためにも利用されるので、国税のデータを地方自治体の地方税担当に提供しています。以前は、地方自治体の地方税担当者が税務署を訪問し、申告書のコピーをしたり、必要なデータを書き写したりしていましたが、e-Taxで提出された所得税の申告書などは、決算書、明細書などを含むすべてのデータを国から地方へデータ提供ができるようになっています。つまり、e-Taxの普及は、国の事務の効率化だけでなく、地方自治体の事務の効率化にもつながっているのです。利用件数の多い税務手続は e-Taxによる提出が可能e-Taxでは(1)申告、(2)申請・届出、(3)納税、(4)各種お知らせの受取り、が可能です。2004年のスタート時には個人の所得税と消費税のみの対応でしたが、現在では利用件数の多い税務手続に関しては、電子的にできるようになっています。(4)の各種お知らせに関しては、個人の場合も法人の場合もシステム上にメッセージボックスが用意されています。ここに申告の案内などの税務署からのお知らせが電子的に送付されます。従来は紙で作成した書類を郵送していたため、手間もコストもかかっていましたが、電子送付により削減が可能になりました。また、納税者も郵送で受け取った場合、忘れたり紛失したりするケースもありましたが、いつでもメッセージボックスで確認できるので、管理がしやすくなっています。e-Taxでできること申告所得税、法人税、消費税、酒税、印紙税及び贈与税の申告申請/ 届出●法定調書(合計表を含む)●納税証明書の交付請求書●青色申告の承認申請書●事業年度を変更した場合等の届出書(異動届出書)など納税全税目の納税(電子納税証明書の手数料納付を含む)※加算税などの附帯税や税額のー部納付も可能各種 お知らせ●申告に関するお知らせ●ダイレクト納付の利用者の方へのお知らせ●振替納税のお知らせ●e-Ta×を利用して還付申告を行われた方へのお知らせなどe-Taxのメリット■納税者のメリット1税務署に出向くことなく、インターネットを利用して申告や納税などの各種手続ができる。2確定申告期間中は、24時間利用できる(メンテナンス時間を除く)。3一部の添付書類(源泉徴収票など)は内容を入力して送信することにより、これらの書類の提出又は提示が不要。4マイナンバーに係る本人確認書類の提示又は写しの提出が不要(マイナンバーの記載は必要)。5書面で提出した場合より、還付金を早く受け取ることができる。6納税証明書の交付請求手数料が、書面請求の場合より安価(e-Tax:370円、書面:400円)。■税務行政のメリット1申告書の収受・入力事務が削減できる。2申告書の整理業務、保管スペース、廃棄業務が削減できる。3申告等情報のデータ化による課税・徴収事務の効率化、高度化ができる。4地方税当局との間のシステム連携を通じて事務の効率化ができる。e-Taxの利用率0.71.23.919.637.748.957.959.0 63.667.371.675.479.380.0 0.0 0.22.518.431.139.743.747.350.451.852.852.153.554.5法人税申告所得税申告(単位:%)8070605040302010016年度17年度18年度19年度20年度21年度22年度23年度24年度25年度26年度27年度28年度29年度●添付書類のイメージデータ化(法人税法等)(平成28年4月~)●e-Taxデータ変換プログラムの提供(平成28年4月~)●受付日を最終土曜・日曜に拡大(5・8・11月)(平成28年5月~)●医療費の領収書、給与所得の源泉徴収票等の添付省略(平成20年1月~)●来署型電子申告の電子署名が省略(平成20年1月~)●電子証明書特別控除(最高5,000円)の創設(平成19年分~平成24年分まで)●添付書類のイメージデータ化(所得税法等)(平成29年1月~)●マイナポータルとの連携(平成29年1月~)●平日の受付時間を24時まで延長(平成25年8月~)●ダイレクト納付の導入(平成21年9月~)●e-Taxの利用開始届出手続のオンライン化を開始(平成18年1月~)●還付処理期間の短縮(平成18年11月~) ●税理士が代理で送信する場合には、本人の電子署名が省略可能(平成19年1月~)●所得税確定申告時期において、e-Taxの24時間受付(平成19年2月~) ファイナンス 2018 Nov.32019年1月に新方式導入、スマホにも対応 確定申告で「e-Tax」が手軽に利用できるようになる特 集

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る