ファイナンス 2018年11月号 Vol.54 No.8
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法人税の利用率は80%だが 所得税は54.5%にとどまる国税庁では、国税電子申告・納税システムである「e-Tax」を提供しています。通常であれば、納税者が紙の申告書を税務署に持参し、申告等の手続をしなければなりませんが、申告から納税までのすべてを電子的に手続ができるようにしたものです。2004年2月に名古屋国税局管内の税務署に試験的に導入し、同6月から全国の税務署で利用できるようになりました。導入当初こそ、利用率は低い状態でしたが、2006年ごろから利用率が急激に上昇しています。確定申告は税理士が代理申告するケースも少なくありませんが、当初は本人の電子署名がなければ代理申告ができませんでした。そこでe-Taxによる代理送信の場合には、本人の電子署名を省略できるようにしたところ、税理士の協力も得られ、大幅に利用率が伸びたのです。結果、2017年度時点では法人税では申告者の80%が、所得税では54.5%がe-Taxを利用しています。e-Taxの普及には、大きく2つの意義があります。納税者の利便性向上と税務行政の効率化です。まず、納税者の利便性に関しては、e-Taxを利用することで税務署に出向く必要がないこと、納税をするために金融機関の窓口に行く必要がないことなどが挙げられます。「e-Tax」のさらなる普及で納税者、税務行政ともにメリットを享受確定申告で「e-Tax」が手軽に利用できるようになる2019年1月に新方式導入、スマホにも対応申告から納税までを電子的に手続ができる「e-Tax」が2019年1月から、 より手軽に利用できるようになる。これまでマイナンバーカードやICカードリーダが必須だったが、これらを使わない方式も用意し、一部ではスマートフォン(スマホ)専用画面による申告も可能になる。取材・文 向山勇特 集2 ファイナンス 2018 Nov.

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