ファイナンス 2018年11月号 Vol.54 No.8
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財務総合政策研究所Ministry of Finance, Policy Research Institute1.はじめにみなさまこんにちは。本日は「にぎやかな過疎地をつくる~縮小化社会のまちづくり~」というテーマでお話しさせていただきます。過疎地ではない地域の人にとっては、自分たちとは関係ない話なのかと思われるかもしれませんが、東京も含めて、ある時代と比較するならどの地域も過疎化していく方向にあると考えられますので、今の地方の過疎地だけではなく、縮小化していくこの社会の中でどういうふうにやっていくのか、という観点で話を聞いていただければ幸いです。2.徳島県美波町について私の故郷であり、活動拠点の1つが徳島県美波町です。10年位前にNHKの朝の連続ドラマ「ウェルかめ」の舞台にもなりました。海と川と山が狭い範囲にぎゅっと集まっている町であり、観光が一番の産業かと思います。アカウミガメが産卵のため上陸する砂浜もあります。今、この美波町にITを中心とするベンチャー企業が20社ほど続々と集まってきています。本日、ウミガメとITベンチャーが集う過疎の町からやってきましたのが私です。私が生まれたとき、美波町の人口は一万四千人ほどだったと聞いていますが、現在、七千人を切り、四十数年を経て人口は半分になりました。典型的な過疎の町です。3. マルチワーク(一人何役)と 2拠点居住私は、サイファー・テック株式会社(以下、「サイファー・テック」)と株式会社あわえ(以下、「あわえ」)の2社を経営するとともに、美波町の政策参与、さらにはインバウンドの拡大に取り組む徳島県南部のDMO組織の副代表理事にも就任するというようにいろいろ活動させていただいています。このように私自身が複数の役割を担っておりまして、マルチワーク(一人何役)とか複業とか言われるようなライフスタイルを送っています。そして、同時に、私は2拠点居住というライフスタイルを実践しています。約4時間かけて徳島県美波町と東京の神楽坂にあるオフィスを行き来しており、月の半分はどちらかで過ごしています。4. 社員を募集できず、会社を美波町に移転本日は地方創生とか地域活動といったお話がメインですので、地域振興に取り組むあわえのことを中心にお話しすることになりますが、まずは私が経営するもう一つの会社、サイファー・テックのお話をさせていただきます。私は、2003年2月にサイファー・テックを東京に設立しました。この会社は、サイファー(暗号)の技術を使って、外部に漏えいした企業の諸情報が外部に流失した場合に、関係者以外はその情報を開けないようにする技術等を提供する、といったセキュリティ関係の会社です。平成30年9月25日(火)開催上級管理 セミナー吉田 基晴 氏(株式会社あわえ代表取締役)にぎやかな過疎地をつくる~縮小化社会のまちづくり~演題講師50 ファイナンス 2018 Nov.連 載 ■ セミナー

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