ファイナンス 2018年11月号 Vol.54 No.8
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ラク大統領も来られたが、今も各国からの視察が相次ぎ、最近も中国の文化担当大臣が視察して、「我が国にもこのような施設があると良いのに。」と感心して帰って行ったという。今回も縄文展、藤田嗣治展、日本映画の100年、地方の魅力「祭りと文化」など多数の公式企画を開催する他、情報センターが設置され、会館内だけでなく、全ての公式企画に関する日時、場所、内容などの情報を提供。加えて、日本の観光案内など、日本に関する各種の情報も提供。「ジャポニスム2018」後は、中国も羨むこの施設を日本文化を発信するような地方公共団体や企業のプロモーション活動にも積極的に利用促進をしていくという。▪10おわりに9月、日仏友好160周年にあわせた仏政府からの招待により、皇太子殿下が訪仏された。その間、パリでは、若冲展のオープニングに出席され、松竹大歌舞伎をご覧になり、その幕間には、エッフェル塔のライトアップの点灯もされたほか、ヴェルサイユ宮殿での宮本亜門演出の能×3D映像「幽玄」をマクロン大統領ご夫妻とご一緒にご覧になった。現地のAFP通信によると、「マクロン大統領が外交の切り札、ヴェルサイユで日本の次期天皇陛下を迎える」として、「マクロン大統領が外交の切り札として壮麗なヴェルサイユ宮殿を選んだのはこれで3回目。今回は日本の徳仁皇太子殿下をお迎えするためだ。…お二人は伝統芸能と3D映像が融合した能の舞台をオペラ・ロワイヤルで観劇した。」。また、ポワン・ド・ヴュー紙によると、「来年5月1日に日本の第126代天皇に即位する皇太子徳仁親王が、9月7日から14日まで、日仏友好160周年に合わせてフランスを公式訪問した。リヨン、パリ、グルノーブル、サントネを訪れた。両国文化に注目を集めて、一般の市民と交流する機会となった。…翌12日の一大イベントの舞台はヴェルサイユ宮殿。徳仁親王は前庭でマクロン大統領に迎えられた後、ヴィクトワール王女の居室で会談。ルイ15世治世下に建設されたオペラ劇場で、「ジャポニスム2018」の一環として上演される能の舞台を鑑賞した。」エッフェル塔のライトアップ点灯式の皇太子殿下©KOS-CREA 写真提供:国際交流基金国際交流基金の安藤理事長は、「日本は安全で、安定していて、食べ物もおいしくて、本当に素晴らしい国だと思うのです。しかし、いかに素晴らしい国であるかということが、まだ世界に十分知られていないので、特に、ヨーロッパに対してもっと紹介していかなければならない。現在の訪日外国人旅行者数のうち、ヨーロッパの人たちはわずか4%ぐらいです。世界の基準を作っていく肝心要のヨーロッパの人達がまだまだ日本のことを知らないのですよね。」と語る。増田事務局長は、「「ジャポニスム2018」を通じて、日本人とフランス人が感性を共鳴させ、協働すること、さらには共鳴の輪が世界に広がることを心から期待しています。また、日本人の美意識や価値観が混迷する国際問題の解決のために少しでも貢献できれば幸いです。」と語る。かつて、200数十年に及ぶ鎖国の後、万国博覧会での日本の出品を契機にジャポニスムが、世界を驚かし、長きにわたり、席巻したというが、「ジャポニスム2018」が今日の世界にどのようなインパクトを与エッフェル塔近くにある、中国も羨む日本文化会館、写真提供:国際交流基金 ファイナンス 2018 Nov.41日仏友好160周年を迎えた文化交流(下) SPOT

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