ファイナンス 2018年11月号 Vol.54 No.8
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えれば、今後の酒のプロモーションにも効果的。オープニングなどの節目には、国税庁、日本酒造組合中央会などからの酒の提供により、会場を盛り上げている。パリでは、今年5回目を迎える、Salon du Sakéというイベントが秋に開催。ヨーロッパは現在、前例のない日本酒輸入量の一大成長期を迎えており、その規模はアジア市場を超え、北米市場をも大きく上回るほど。2017年の統計では、欧州全体への日本酒売上げは全体で21%増。輸出量では28%増で、フランスに限れば57%増を記録。人口7億人を超えるヨーロッパは、世界一の市場となりえるという。料理とワインで知られる美食の都・パリで行われるSalon du Sakéは、日本の生産者と欧州のマーケットとの架け橋として、ますます注目が集まっているという。《酒巡りin Paris》にて。フランス料理と日本酒のマリアージュを楽しむフランスのインポーターたち、日本酒造組合中央会提供また、これとは別にKURA MASTERというフランスで2017年から開催されている日本酒のコンクール(品評会)もある。これはフランス人によるフランス人のためのフランスの地で行う、日本酒のコンクール。同時に、「フランスの歴史的食文化である《食と飲み物の食べ合わせのアバンチュール》を、…フランス的にロジックに判断していただくことでフランス市場における日本酒をアピールする場を提供する」という。審査員は、フランス人のソムリエ、レストラン関係者、ホテル・料理学校関係者などのプロフェッショナルな方を中心に構成。また審査だけではなく、日本酒講習会を開いたり、蔵元訪問などの機会を多くオーガナイズし、品評会コンクールを通して、マーケットを拡大していくという。実際フランス人の感覚だと、これまでにない結果が出たりする。7月、最優秀のプレジデント賞の結果にどよめきが起こったという。賞に輝いたのは、純米吟醸や純米大吟醸を押しのけて、純米酒だったからだ。パリ市内のレストラン、カフェ、ワインバー等の協力を得て、日本酒や日本茶など日本の「味わい」に触れて、楽しんでもらう機会をパリで提供して、「ジャポニスム2018」を広く盛り上げる参加型企画が「日本の食と文化を楽しむシリーズ」。その一つが、パリ市内の様々なジャンルの料理店が日本酒蔵元とそれぞれタッグを組み、各銘柄と相性の合うメニューやアラカルト一品を考案して、その日本酒とともにお客様に提供する特別週間を、Salon du Saké直前のプレ企画として実施。公募により選ばれた24の蔵元が、パリ市内の24軒のレストランとマッチングするグルメイベント《酒巡りin Paris》。各銘柄に合わせて各レストランが考案したメニューや自慢の一皿は、日本酒の繊細さをより引き立てる。その他、ワインバーに通うワイン愛好家に日本酒の味わいを発見してもらう企画《日本のお酒試飲の夕べ》、カフェやレストランでの日本茶お試し月間《日本茶月間》等の企画も。(3) エッフェル塔特別ライトアップ 〈エッフェル塔・日本の光を纏う〉パリの象徴、エッフェル塔をライトアップ。フランスのランドマークに日本の文化を重ねるアート作品。エッフェル塔は、フランスで国家的な行事や国際的な催事がある度に光技術を駆使したライトアップにより、夜の顔として美しい光の衣に包まれてきたという。今回は「ジャポニスム2018」を記念して、初めてエッフェル塔が日本を題材とする光のアートを身に纏う。エッフェル塔の対岸の国立シャイヨー劇場での松竹大歌舞伎のオープニングの晩、歌舞伎座のライトアップも手がけた石井幹子、石井リーサ明理の企画デザインによる日本画をモチーフとしたデザインも含めて約10分間の光のショーで、日本の色をパリの夜空に浮かび上がらせた。(4)地方の魅力―祭りと文化10月、徳島県など14の地方自治体と連携し、阿波 ファイナンス 2018 Nov.39日仏友好160周年を迎えた文化交流(下) SPOT

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