ファイナンス 2018年11月号 Vol.54 No.8
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など第二次世界大戦後から2000年代までの、厳選された映画約55本を上映。第一セクション(2018年11~12月)はまず、誰もが知る作品を、最新技術で生まれ変わったデジタル修復版で再発見する機会を提供。第二セクション(2019年1~2月)はフランスではまだ知られていない名監督の作品と、よく知られている監督の知られざる傑作を紹介。第三部(2019年1~2月)は今活躍中の監督の作品を紹介。2018年に公開される最新作も数本含め、新海誠監督の「君の名は。」や大林宣彦監督の「花筐」など、現在の日本映画界を牽引する巨匠から若手監督までの作品37本で、日本映画の今を伝える。なお、事業の一部は、トゥールーズやリヨン等フランス国内の別都市にも展開。(4)KINOTAYO現代日本映画祭現代日本映画に絞ると、フランス最大の日本映画祭として、2006年の創設以来、多くの人が毎年楽しみに待ち望んでいるKINOTAYO現代日本映画祭。フランスでの公開前の最新作を含め、幅広いジャンルの日本の現代映画を数多くフランスに紹介してきた。第13回映画祭は、「ジャポニスム2018」の一環として、例年にも増して魅力的なプログラムを用意。この他、ポンビドゥーセンターで河瀬直美監督特別展・特集上映、日本文化会館他で、「歌舞伎役者 片岡仁左衛門」特別上映会、「FUJITA」特別上映会を開催。7生活文化生活文化も重要なコンテンツ。日本の生活文化が広く知られることは、訪日外国人の増加や日本産品の輸出振興にもつながるもの。(1)「日本の食と文化を学ぶシリーズ」まずは、何といってもグルメ大国フランス。小倉和夫前国際交流基金理事長、元駐フランス大使曰く、「『世界の三大料理は何か』という話をしますと…フランス料理は、誰もが三本の指に入れる料理でしょう。」という。辻料理学校の創設者、辻静雄曰く「フランス人のフランス料理に関する執着心は、とうてい日本人の日本料理に対して持っているものとはわけが違うのだ。つまり、原則として彼らは自分の国の料理しか食わないのだ」。ただ、デザイナーの森英恵はフランスと日本の食卓を比較し、「食事というものに対する考え方、捉え方に共通するものがある…食卓でも季節感、自然を大切にするような心持は、日本と似ている」という。和食、食材、酒などを、フランスのシェフや主婦が取り込めば、きっとフランスにとどまらず、食の世界での影響が期待できる。フランスでは仏人シェフが日本食材を取り寄せて自分の料理に使う動きが活発になっているともいう。「日本の食と文化を学ぶシリーズ」では、フランスのシェフ、調理師を志す学生から一般・子供まで、さまざまな層を対象に、お菓子やお茶も含めた日本の食文化を学ぶためのセミナー・ワークショップを開催。理論と実践で日本の食の魅力を伝え、和食が既によく知られているフランスで、より深く、より広く、日本食を学び、理解し、堪能してもらうための試み。日本の食の魅力と楽しみ方を伝えるセミナー・ワークショップシリーズを開催。各対象層に合わせたテーマを回ごとに設定して、日本の専門家を講師として講義と実習を行う。シェフやその卵向けには、調理師職業リセ他(パリ、クリシー、ストラスブール、トゥール等)フランス料理にも応用できる日本食材、出汁やうまみ、日本料理特有の調理技術、日本茶等がテーマ。また、一般の人々や子供には、パリ日本文化会館で、「手まり寿司・巻き寿司」「お好み焼き」「どら焼き」など、フランスで入手が可能な材料で、自宅で気軽に作れるメニューを取り上げる。本プロジェクトの一部はパリ以外への都市・地方でも開催。(2)「日本の食と文化を楽しむシリーズ」1867年のパリ万博では、茶屋で3人の芸者にみりん酒とお茶をサービスさせて大評判になったという。「みりん酒」とは、味醂を等量の焼酎で割ったもので、口当たりが甘いので下戸や女性に喜ばれたという。今回も酒は重要な要素。最高級の日本酒でもワインに比べれば随分リーズナブル。パリで日本文化に対する関心が高まるこの時期に食通に酒の良さを体感してもら38 ファイナンス 2018 Nov.SPOT

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