ファイナンス 2018年11月号 Vol.54 No.8
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山清琴を初め、伝統を受け継ぐ現代を代表する舞踊家と演奏家による日本舞踊も演じられる。(5)現代劇ほか伝統だけではない。蜷川幸雄が村上春樹の原作の世界観を世界の蜷川ならではの壮大なスケールで舞台化した「海辺のカフカ」のパリ初演、野田秀樹演出の現代劇「贋作 桜の森の満開の下」の国立シャイヨー劇場での公演などの現代劇や、更には、2007年に発売された歌声合成のソフトウェア、「初音ミク」のコンサートも開催。以前に招待で見た、初音ミクと和太鼓のチームとのコンサート。コアなファンで会場一杯。コンサートが始まるとたちまち、皆、専用のペンライトを持って総立ち。生身の人間ではないので、衣装替えも一瞬で、休憩も要らないので、ノンストップのステージ。既に日本国内はもとより、北米、アジアには行っているが、今回はヨーロッパ初上陸。6映像(1)河瀬直美監督 新作「Vision」特別上映丁度、今年のカンヌ映画祭では是枝監督の「万引き家族」がパルム・ドール(最高賞)をとったところだが、「殯の森」で2007年に同じくカンヌ映画祭でグランプリをとるなど数々の賞を受け、日本人映画監督として初めて同映画祭の審査委員に選ばれるなど、とりわけ、フランスで高く評価されているのが河瀬直美監督。ジャポニスム2018のオープニングを記念し、新作「Vision」を11月のフランス国内一般公開に先立ちお披露目上映。監督の故郷、奈良を舞台に世界三大映画祭すべてで女優賞を獲得したフランスのジュリエット・ビノシュと、日本の永瀬正敏がダブル主演の日仏合作映画。フランスの女性エッセイストが日本を旅し、神秘の森、吉野の山々を守る山守の日本人男性と心通わせる物語を描いた映画上映をシネマテーク・フランセーズで開催。(2)テレビ日本月間テレビの影響力は強い。サッカーワールドカップでフランスを初優勝に導いたジダンも日本のアニメ「キャプテン翼」に憧れてサッカーを始めたというし、ブラジルで一番有名な日本人は、2位の本田圭佑らを抑えて、日本では知られていない日本の変身ヒーロー番組「巨獣特捜ジャスピオン」の主役、黒崎輝(くろさきひかる)だという。ジャポニスム2018では、9月に文化・教養専門チャンネルARTEでは、日本をテーマとする特集を組み、さまざまなジャンルの日本関連テレビ番組を集中的に放送。幅広い層に向けて、日本の人々の生きた暮らしや社会、日本で育まれてきた文化芸術、日本人の考え方や感じ方を伝える企画。NHK、ARTE他の日仏関連機関が共同制作した、歴史や紀行、人々の生活を扱ったスケールの大きなドキュメンタリーも放送した。(3)日本映画の100年「剣戟ブーム」を起こした記念碑的作品、1925年の阪東妻三郎のサイレント映画、『雄呂血』©Matsuda Film Productionsご存じ北野武監督はフランスの最高勲章レジオンドヌール勲章を受章、この他、小津安二郎や黒澤明、大島渚監督の知名度は抜群という。ここでは日本映画の歴史を深掘りし、日本映画の100年の歴史を119本の映画で紹介する。1920年代の作品から2018年の最新作まで、日仏の専門家が共に選んだ映画を3部構成で特集。皮切りの第一部(2018年9月~10月)では、フランス映画文化の中心拠点、シネマテーク・フランセーズで、1920~1940年代の映画27本を上映。日本映画の発芽期から黄金期が始まる時代の作品をカバー。あわせて、サイレント映画に命を吹き込む活動弁士と楽士による公演も実施。第二部「日本映画再発見」は、黒澤明監督の羅生門 ファイナンス 2018 Nov.37日仏友好160周年を迎えた文化交流(下) SPOT

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