ファイナンス 2018年11月号 Vol.54 No.8
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と言われるフランスでは漫画、バンド・デシネ(bande dessinée)はルーヴルも、「建築」「彫刻」「絵画」「音楽」「文学(詩)」「演劇」「映画」「メディア芸術」に次ぐ第9の芸術と位置づけているという。「MANGA⇔TOKYO」展(会場:ラ・ヴィレット)では、都市〈東京〉の特徴や変化を、鏡のように映しだしてきた日本のマンガ・アニメ・ゲーム・特撮作品を多数の原画や模型、映像などでたどるもの。この他、舞台公演として、2.5次元ミュージカル(2次元の漫画・アニメ・ゲームを原作とする3次元の舞台コンテンツの総称)。2015年3月に渋谷で2.5次元ミュージカル専用劇場として運用が始まったAiiA 2.5 Theater Tokyo では、4か国語に対応する“メガネ型字幕システム”でインバウンド需要にも対応し、ほぼ100%の稼働率とのこと。今回上演されるセーラームーンが原作の【2.5次元ミュージカル】“Pretty Guardian Sailor Moon” The Super Live(パレ・デ・コングレ・ド・パリ 大劇場)は、今ではミュージカルを観るために多くの外国人も日本に訪れるほど2.5次元ミュージカルを代表するビックタイトルとなっているという。(10)「安藤忠雄 挑戦展」光の教会、直島ベネッセハウスなどの設計で知られる安藤忠雄は、フランスでも人気。そういえば、直島の美術館でフランス語版の安藤忠雄のガイドブックが売られていた。独学で建築を学び、デビュー以来、常に新たな作品で建築界に衝撃を与えてきた。ポンピドゥ・センターで開催される本展は、これまでの活動の軌跡とこれからの展望を、模型、スケッチ、ドローイングや映像などを通して紹介。(11)「藤田嗣治展」マクロン大統領からのメッセージでも触れられていた藤田嗣治は若くしてパリにわたり、戦前の日本人画家では唯一、高い評価を受けたという。本展では、最初にパリに渡った1913年からパリを離れる1931年までの作品、中南米を旅し日本に戻り、東京を起点に日本各地や中国から東南アジアまで足を延ばした1930-1940年代の作品、さらには戦後、終の棲家と定めることとなるフランスへのオマージュとして制作された作品を紹介。なお、今回は出品されていないが、藤田の大作、「ノルマンディーの春」は関西日仏会館の設立記念にあたり藤田から寄贈され、今もアンスティチュ・フランセ関西のロビーを飾る。5舞台公演(1)和太鼓 DRUM TAO「DRUM HEART」欧米に限らず、アフリカでも、中央アジアでもどこでも受けるのは太鼓らしい。パリでも、オープニングは世界23か国、500都市、観客動員数700万人の世界を魅了する和太鼓集団「ドラムTAO」の公演で始まった。コシノジュンコのデザインした衣装で、力強く切れの良い動きのパフォーマンスは、時にはユーモアも交え、観客を飽きさせることなく、2時間の大迫力の舞台。観客は全員スタンディングオベーションで讃えたという。(2)松竹大歌舞伎日本文化の海外での舞台公演の定番と言えば、やはり歌舞伎。今回も、9月14日から1週間、松竹大歌舞伎がエッフェル塔の対岸にある国立シャイヨー劇場のシーズンオープニングを飾る。11年ぶりのパリ公演は、中村獅童と中村七之助のパリデビューで、「歌舞伎十八番の内 鳴神(なるかみ)」、「色彩間借豆(いろもようとっとかりまめ)かさね」を演じた。下総国羽生村の木下川(きねがわ)堤で、与右衛門と腰元かさねは道ならぬ恋の末、心中を決意。そこへ、草刈鎌が突き刺さった髑髏と卒塔婆が川面に流れてくる。かつて自らが殺めた男の髑髏と気付いた与右衛門が、鎌を引き抜いて髑髏を割ると、かさねが顔を押えて苦しみ出し…という全編に歌舞伎の様式美が溢れる舞踊劇の名作。公演では、奥女中のかさね(獅童)が姿を見せた途端、女方の所作の美しさで客の目を釘付けに。クドキでは与右衛門(獅童)を相手にかさねが女心を視覚的に表現し、その切ない思いを客席「鳴神」の鳴神上人:中村獅童(左)と雲絶間姫:中村七之助(左) ©松竹株式会社 ファイナンス 2018 Nov.35日仏友好160周年を迎えた文化交流(下) SPOT

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