ファイナンス 2018年11月号 Vol.54 No.8
38/84

とともに、その絢爛豪華な様式美、現代の生活美術全般にも通じる斬新なデザイン感覚を紹介。(5)「古都奈良の祈り」展前号で紹介したギメ東洋美術館とともに奈良県が主催し、奈良県が誇る国宝級の仏像を展示。奈良県では、「ジャポニスム2018」を、奈良への関心を深め、奈良県への来訪を促す絶好の機会と捉え、当行事に積極的に参画することで比類なき歴史文化資源を有する「日本のはじまり」奈良の奥深い魅力を発信するもの。本展では、名刹・興福寺で大切に守り伝えられてきた至宝のうち、「木造地蔵菩薩立像」(重要文化財)と「木造金剛力士立像(阿形・吽形)」(国宝)を厳選して展示。普段は奈良を訪れなければ味わえない、眼前の仏像から放たれる美しさや迫力、その精神性の一端を伝える貴重な展示をとおし、シルクロードの東の終着点として日本文化の礎を築いた古都「奈良」の新たな魅力を紹介。(6)名和晃平彫刻作品「Throne」パリで美術と言えば、やはりルーブル美術館。その入り口ピラミッド内に高さ10.4メートル、重さ3トンの巨大モニュメント。現代芸術家、名和晃平の金ぴかの「Throne」(玉座)。その玉座は空位。ル・モンド紙は、「…大作「Throne」は,スター・ウォーズの世界と仏教思想を掛け合わせたかのような作品だ。「現代社会において、玉座に座っているのは一体誰なのか? 将来は誰が座るのか? この玉座をあえて空席のまま残し、こうした問いを投げかけたかった。」と名和は説明する。」という。(7)「香取慎吾NAKAMA des ARTS」展写真右:「Lie.ARIGATO」ルーブル美術館に隣接するカルーゼル デュ ルーブル シャルル5世ホールでは、「ジャポニスム2018」の広報大使も務める元SMAPの香取慎吾が、「アートを題材にしてNAKAMAとつながりたい」とのコンセプトのもと、絵画、オブジェだけでなく、ファッション、そして「新しい建築」とのコラボレーション作品を紹介。香取慎吾初の個展となる。インスタグラムのフォロワー100万人を超える香取は「アートにゴールはないと思い続け、描き続けている僕ですが、目指すゴールと言ってもおかしくないルーヴル美術館でスタートできることに、僕のアート脳が爆発しています。たくさんの人に僕を感じてもらいたいです」とコメント。(8)「縄文展」縄文文明について、レヴィ=ストロースは、「人類諸文化のすべてをみても、これに比肩できるものはありません。」「これほど古く遡ることができる土器づくりの技術は他に知られていません。」「そしてとりわけ様式が独創的なのです。」と語ったという。1998年、パリ日本文化会館で開催した「縄文展(JOMON):l’art du Japon des origins」は日本の芸術に造詣の深いフランス人に新鮮な驚きとともに迎えられ、多くの人々を魅了したという。藤井宏昭 元国際交流基金理事長によると、日本の「基調文化とは何なのか。それは縄文の文化に他ならないのではないだろうか。…旧来の世界史の教科書では、…人類は常に移動していたが、今から1万年超前にメソポタミアで農耕、牧畜を始めることによって定住し、第二段階に入ったとされている。しかし、日本列島においてはそれより更に4~5千年も前から定住していたと考えられる。…定住することによりコミュニティーが出来、また分業と文化の継承が可能となった。」という。「縄文展」は、この夏、東京国立博物館で開催された特別展「縄文―1万年の美の鼓動」をパリ向けに再構成するもの。縄文時代の美を体現する国宝火焔型土器をはじめとした土器に加え、土偶や装身具など、多くの国宝や重要文化財を含む出土品を一同に紹介し、日本美の原点である縄文の美と、それを生み出した縄文人の豊かな精神性の魅力を提示する。(9)マンガ、アニメ、ゲーム個人当たりのマンガ消費量が日本に次ぎ世界第2位34 ファイナンス 2018 Nov.SPOT

元のページ  ../index.html#38

このブックを見る