ファイナンス 2018年11月号 Vol.54 No.8
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第6則は、入港する船のトン数に応じたトン税は設けないが、入港・出港ごとに税関に手数料を払うほか、許可証や保健報告書(出港する港の伝染病の状況を知らせるために出港する港の当局が作成するもの)その他の書面についても税関に手数料を払うべき旨を規定している。(6)第7則【仏文(現代語仮訳)】第7則日本政府に対し同国に陸揚げされるすべての商品について支払うべき税は、次の関税表にしたがって支払われるものとする。第1類この類に含まれるすべての物品については、税を支払う必要がない。貨幣かどうかにかかわらず金及び銀。現時点で使用されているすべての種類の衣服。家事用品及び売却を目的とせずに印刷された本であって、日本に居住しにくる者の所有に帰するもの。第2類次の物品については、百分の五の税を支払うものとする。船舶の建設、艤装、修理又は装備に使われる資材。捕鯨のための全ての種類の船具。塩分を含むすべての種類の食料、パン及びその類似品、すべての種類の生きた動物。石炭、住居建築用木材、米、雑穀、蒸気機械、亜鉛、鉛、錫、生糸、木綿及び毛織物。第3類蒸留、醸造又はその他すべての方法により作られる致酔性のすべての種類の酒類については、百分の三十五の税を支払うものとする。第4類これより前の類に含まれないすべての物品については、百分の二十の税を支払わなければならない。積荷として輸出されるすべての日本製物品については、金銀貨幣及び銅の延べ棒を除き、百分の五の税を支払うものとする。日本で収穫された米及び麦は、積荷として輸出してはならないが、日本に居住するすべてのフランス人並びに乗組員及び旅客についてフランスの船舶は、これらの食糧に係る十分な備蓄品を受け取ることができる。フランス船舶によって日本の開かれた一の港に持ち込まれた外国の穀物は、荷揚げされる部分に該当しないときは、妨げなしに輸出することができる。日本政府は、その使用において余剰となった一定の量の銅を、時々において、公共入札により売却するものとする。神奈川の開港から5年後、輸入及び輸出の税は、フランス及び日本の両政府が望む場合には、改定することができる。年号安政の5年いわゆる馬の年の9月3日にあたる1858年10月9日に、江戸において四通作成した。印 署名(グロ男爵のもの)花押(水野筑後守のもの)花押(永井玄蕃頭のもの)花押(井上信濃守のもの)花押(堀織部正のもの)花押(岩瀬肥後守のもの)花押(野々山鉦藏のもの)【カタカナ文】第七ノ キソクスベテ ニツポンノ コクヂニ アゲタル シナモノニハ ウンジヤウヲ ツギノモクロクガキノ トホリ ニツポン ヤクシヨヘ ハラフベシ一ルヰスベテ コノルヰノウチニ シルシタル シナジナハ ウンジヤウヲ ノソクベシキンギン ゼニニツクリタルモ マタハ ツクラザルモタウヨウノキモノカザイ ナラビニ ハンポン コレハ ウルタメト サダメザルモノ シカシ ザイリウノタメニ ニツポンヘ キタルヒトビトノ モチヨウノモノ二ルヰツギノ シナジナニハ 五ブノ ウンジヤウヲ ハラフベシスベテフ子ノツクリタテ ツナグ シユフク マタハ フ子ヨリ ホヒノタメニ モチウルシナジナクジラトル ダウグノ スベテノルヰシホヅケ シヨクモツノ スベテノルヰパン ナラビニ パンノモトイキタルトリ ケモノノ スベテノルヰセキタンイヘヲ ツクル ザイモクコメモミジヨウキ ダウグトタン16 ファイナンス 2018 Nov.SPOT

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