ファイナンス 2018年11月号 Vol.54 No.8
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第4則では税関が当時管轄していた出港手続について規定している。出港の通知は、船舶側から税関に対し、出港の24時間前までに行うこととされ、船舶側は24時間経過時に出港許可を受ける権利を有するが、税関が出港許可を拒否することも可能であり、その場合には、税関職員は船長又は船の受託者及びフランス領事に拒否の理由を知らせなければならないとされている。なお、フランスの軍艦は入港・出港手続が不要となっており、また、これら軍艦には税関職員の検査権限もないことが規定されている。また、郵便船は入港・出港の手続を一日で行うことができるとされ、上陸する旅客と陸揚げされる荷物のみ目録の提示が求められていた。さらに、補給のため寄港する捕鯨船や遭難船は、貨物の目録の提出は不要とされた(ただし、後で貿易を予定している場合には、第1則に規定する手続を踏む必要があった)。(5)第5則第5則は、虚偽申告等について、違反するごとに高額な罰金を科すことを規定している。(6)第6則【仏文(現代語仮訳)】第5則日本の収入を不正に減じようとする意図において虚偽の申告又は虚偽の証明書に署名したすべての個人は、その犯した違反ごとに六百七十五フランの罰金を支払うものとする。【カタカナ文】第五ノ キソクニツポンノ シユナフヲ サマタグルタメニ イツハリノ コクシヨ マタハ シヨウコガキニ ナヲシルシタルヒトハ オカスゴトニ 六百七十五フランクノ クワレウヲ ハラフベシ【漢字かな混じり文】第五則日本運上役所の規則に違ひたる偽差出し積荷目錄を出し並に證書に名前を記せる輩は其犯すことに六百七十五フランクの過料を日本役所へ納むへし【仏文(現代語仮訳)】第6則日本の港においては、フランス船舶に関するいかなるトン税も徴収されることはないが、次の税は当該船舶から日本税関に支払わなければならない。船舶の入港ごとにつき 八十一フラン船舶の出港ごとにつき 三十七フラン八十サンチーム交付される許可書ごとにつき 八フラン十サンチーム保健報告書ごとにつき 八フラン十サンチームその他の書面ににつき 八フラン十サンチーム【カタカナ文】第六ノ キソクトンギンハ ニツポンノ ミナトニオイテ フランスノフ子ヨリ トリタテザルベシ シカシ ツギノ チンギンハ ニツポン ウンジヤウシヨノ ヤクニンヘ ハラフベシ一フ子ノミナトイリノ テカズニツキ  八十一フランク一フ子ノミナトヲイヅル テカズニツキ 三十七フランク八十サンチームユルシガキ ゴトニツキ        八フランク十サンチームケンゴガキ ゴトニツキ        八フランク十サンチームソノホカノ カキツケゴトニツキ    八フランク十サンチーム【漢字かな混じり文】第六則噸税は日本開港の塲所において佛蘭西商舩より取立すといへとも左の規定の通其地々々の運上役所に納むへし壱舩の入港手數に付  八十一フランク壱舩の出港手數に付 三十七フランク八十サンチーム夫々の免状に付    八フランク十サンチーム塲所々々健固状に付  八フランク十サンチーム其外の各書に付    八フランク十サンチーム ファイナンス 2018 Nov.15日仏修好通商条約、その内容とフランス側文献から見た交渉経過(6) SPOT

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