ファイナンス 2018年11月号 Vol.54 No.8
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その大隈重信は、出身地の佐賀において「佐賀の八賢人」の一人として称えられ、その人物像や功績は今も脈々と語り継がれている。その中でも、演劇の分野で大隈重信を現代に伝える活動をしている青柳達也氏はこう語る。「歴史を紐解いていくことにより大隈重信という人物の魅力を再発見できます。進取の精神を持ち、通貨を円に制定し、西洋暦を取り入れたりした歴史的な功績だけでなく、挫折を味わったこともあるし、メロンが好きだったりと人間的なことにも出会えます。それをわかりやすくて親しみやすい方法でできるのが演劇だと思っています。」その青柳氏が代表を務める「幕末・維新 佐賀の八賢人おもてなし隊」*4は、幕末から明治にかけて活躍した佐賀出身の8人の偉人=「佐賀の八賢人」に扮して、歴史寸劇を演じる役者ユニット。2012年より佐賀市にある佐賀城本丸歴史館を中心に活動しており、今年の3月から来年の1月14日まで佐賀県下で開催されている「肥前さが幕末維新博覧会」においてもメインステージの舞台に上がるなど活躍中だ。その演目は、史実をもとにした本格的なもので、ステージをいっぱいに使った演技は迫力十分で、途中、笑いもありながら、最後には心を揺さぶられる感動的なシーンで締めくくられる。観覧無料にも関わらず、非常に見ごたえがあり、大人から子供まで「楽しくて勉強になった」と県内外の来場者からも大好評だ。幕末明治という激動の時代を切り抜け、日本を近代化に導いた先人たちの偉業や熱い想いを、今の時代に伝え広める活動について、八賢人おもてなし隊のプロデューサーである桜井篤氏は、「彼ら八賢人がわずか150年前にこの佐賀に本当にいた、ということ、そして、彼らの熱い生き様や、「人のために」という精神を演劇で伝えることが、現代を生きる佐賀の人間に「郷土への誇り」および「佐賀人としての自信」をもってもらう上でとても有意義だと考えています。」と語る。明治150年という節目を通過点として、明治期と現在、さらには将来をつなぐ時代の架け橋となっている。3将来世代へつなぐ取り組み財務省に限らず明治草創期の日本が、近代的な諸制度の礎を築き、またその上に、様々な努力や苦労の歴史が積み重なって、今の日本がある。その重みを感じれば感じるほど、この奇跡というべき、今の豊かな社会を将来世代へつなぐためにどうしたらよいのかと考えることは、財務省だけの課題ではないはずだ。財務省・財務局では、若年層にも日本の財政に興味を持つきっかけとして、小学生から高校生までを対象にした財政教育プログラムや、女性・子育て世代向けへの講演といった広報活動などを行っている。人口減少、超高齢化社会という、未だかつてない時代を迎える日本において、豊かな社会を未来へつなぐために、過去の歴史を振り返り、次の変革(ネクストイノベーション)は何なのかを考えることが今求められているのではないだろうか。写真:幕末・維新 佐賀の八賢人おもてなし隊*1  参考文献『大蔵省史』13ページ、40ページ、51~52ページなどより。なお、本稿は財務省の公式見解を示すものではなく、筆者個人の見解である。本項の記述は当該参考文献の内容に基づいているものの、その正確性を保証するものではなく、あくまで当該参考文献に対する筆者の理解に拠る記述である。*2~4の詳細については以下のQRコードからご覧いただけます。*2 肥前さが幕末 維新博覧会*3 製造貨幣大試験*4 幕末・維新  佐賀の八賢人 おもてなし隊 ファイナンス 2018 Nov.11ネクストイノベーションSPOT

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