ファイナンス 2018年10月号 Vol.54 No.7
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増える訪日外国人を 宿泊につなげる香川県小豆島は、農村歌舞伎などの伝統文化や美しい自然を有する四国随一の観光地として定評があり、近年は訪問外国人の数が急増しています。リーサスの香川県データを見ると、2016年の外国人訪問者は17万5579人、宿泊数は35万8360人泊となりました。アジアからの訪問が最も多く75%を占め、なかでも中国、台湾、韓国からの訪問が大半を占めており、66.7%となっています。また、訪日外国人のうち、宿泊しているのは約3分の1であることもわかり、観光を宿泊につなげることが課題であることもわかってきました。一方、島内では急速な人口減少・少子高齢化が進んでおり、既に4戸に1戸が空き家となっています。これらを踏まえた政策アイデアとして、空き家を利用して、外国人が好む傾向にある「安価で長期滞在が可能」な宿泊施設を民泊事業で整備することを検討しました。まずはモデルケースとして、主要港である土庄港から近い、土庄町「迷路のまち」で空き家を活用した「迷路民泊」事業の開始を提案しました。「迷路のまち」は、海賊から島民の生活を守るために、複雑な路地が形成されたといわれているもので、昔ながらの日本家屋が多く残る魅力的な地域です。フィールドワークで確認したところ、「迷路のまち」には、50戸程度の空き家があることが確認できました。そのうち、40戸以上は、修繕なしで利用できる状態でした。事業スキームは、土庄港近くに民営の民泊一括受付施設を設立し、民泊利用者に飲食店、観光地、アクティビティ等の紹介も行うことで、合わせて島内の他産業への波及効果も狙うものです。コンテストには全国から647件の応募がありましたが、「迷路民泊」事業のアイデアが最優秀賞にあたる地方創生担当大臣賞を受賞しました。今後は、香川大学や地元・小豆島の関係者などと連携し、空き家を活用した民泊事業の実現に向けた、課題の洗い出しを行っていく予定です。050,000100,000150,000200,000250,000300,000350,000400,000201120122013201420152016(人・人泊)358,360(人泊)●外国人訪問者数(人)●外国人宿泊者数(人泊)175,579(人)●香川県の訪問外国人数と宿泊者数の推移中国49,168人28.0%台湾45,013人25.6%韓国23,067人13.1%その他アジア州14,411人8.2%欧州13,952人7.9%北米13,151人7.5%大洋州5,201人3.0%その他11,616人6.6%総数:175,579人(香川県)2016年75%がアジア州から●国別の訪問外国人数企画のテーマは「小豆島×迷路民泊×空き家」●フィールドワークの様子空き家の外観お洒落なキッチン水回りもそのまま利用可能趣きのある和室迷路のまちをフィールドワーク実際の空き家の様子 ※すべて所有者の許可を得て撮影・掲載 ファイナンス 2018 Oct.5注目が集まる! 若手職員プロジェクトチームによる地方創生支援活動特集

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