ファイナンス 2018年10月号 Vol.54 No.7
85/92

各地の話題・三池港(九州地方整備局 博多港湾・空港整備事務所提供)石炭は当初、燃料として使用されていましたが、煙のでないコークスがつくられ、ガスやタールが副産物として出るようになると、これらを活用した、染料、医療品、薬剤、火薬などを製造する日本で最初の石炭化学コンビナートが川沿いに林立し、工業地帯として発展することとなります。4大牟田市の特徴大牟田市の主だった特徴は、観光パンフレット等見れば分かるので、ここは少し趣向を変えて、海→陸→山と高低差順でもう少し紹介してみます。海有明海有明海は、福岡、熊本、佐賀、長崎の4県に囲まれた、約1,700平方キロメートルの浅海性内海です。潮汐による干満差は日本で最も大きく、最大で6メートル程度にも達するそうです。干潮になると、広大な干潟が現れるのが特徴で、これは、貝類をはじめとした様々な生物にとって棲みやすい環境であり、水質浄化にも大きな役割を果たしています。海といえば海の幸ですが、ここ有明海でも、スズキ、クルマエビ、ワタリガニ、イカ、タコ、貝類などが水揚げされます。単位面積当たりの漁獲量によって海域の生物生産力を比較すると、有明海は、日本の沿岸漁場の中で最高水準だそうです。海の幸の中でも、筆者のお薦めは海苔です。海苔は産地によって特性があるようですが、有明海苔は、やわらかい食感でパリッと歯切れもよく、甘みと旨みがあり、贈答用のイメージがあります。・有明のり(大牟田市提供)有明海の中でも、大牟田沖には、もう一つ特徴的なものがあります。それは、「人口島」です。沖合約2キロメートルと約5.5キロメートルに、初島、三池島という人工島がそれぞれあります。初島は直径120メートル、三池島は直径92メートルの、いずれも円形の無人島で、三池炭鉱が海底下に坑道を伸ばしていくにあたり、通気坑として、昭和26年、昭和45年にそれぞれ造られました。炭鉱閉山により現在は機能していませんが、三池島は平らに整備され、現在草原が広がり、20種類以上の鳥類の営巣地帯となっています。陸世界遺産平成27年7月、「三池炭鉱・三池港」が明治日本の産業革命遺産の構成遺産として登録されました。平成9年に閉山した三池炭鉱には9箇所の坑域があり、そのうち「宮原坑」、「万田坑」の2箇所、それに「炭鉱専用鉄道敷跡」、すでに紹介した「三池港」と、いずれも石炭関連となる計4箇所が構成遺産となっています。ところで石炭についてもう少し付け加えると、この鉱物は、植物が完全に腐敗分解する前に地中に埋もれ、そこで長い間地熱や地圧を受けて変質した植物化石です。地域によって形成された時代は異なりますが、日本の石炭は火山熱等の影響から、数千万年前という比較的新しい地層からおよそ産出されます。三池炭は、海岸から数キロの地点で地表に露出していますが、海岸付近では、例えば地下400~500メートル程度下にあり、つまり地層が海に向かって斜め深く傾いています。三池炭鉱は海底までより深く坑道を張 ファイナンス 2018 Oct.81連 載 ■ 各地の話題

元のページ  ../index.html#85

このブックを見る