ファイナンス 2018年10月号 Vol.54 No.7
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各地の話題悠久の景観から近代化発展に変貌した街 「大牟田」長崎税関 三池税関支署 統括審査官鈴木 賢1はじめに(管轄/沿革/貿易)三池税関支署は、福岡県の南端である大牟田市に所在し、同県久留米市に所在する久留米出張所を含めた管轄は、福岡県南部と佐賀県南東部、熊本県北西部の3県にまたがっています。地図で見ると、有明海の北東部沿岸である「筑紫平野」が主な管轄区域ということになります。三池税関支署の所在する大牟田市は、明治初期までは半農半漁の一寒村に過ぎなかったものの、明治6年、藩が設けていた三池炭鉱が官有として経営されるようになると、周辺に移住する者が相次ぐようになり、大正6年には市制が施行され、大牟田市となりました。炭鉱については、明治22年に財閥に払い下げられ、その後、産出した三池炭の輸送効率を上げるため、明治35年に三池港が築造開始、明治41年に三池港が完成し、同年、三池税関支署が開港指定と同時に設置されました。三池港を主要港とする当支署の貿易は、戦後の一時期を除き、輸出の割合が高い地域です。昭和30年までは、三池炭鉱の石炭、及び、後背地域にある化学工場で製造される化学肥料の輸出を主としていましたが、その後、石炭の輸出は減少していき、昭和40年代末、熊本県北部の有明海沿岸に大型造船所ができた以降は、船舶類や有機化合物などが主要な輸出品となっています。2筑紫平野の地勢・歴史大牟田市をつなぐ交通網は、鉄道、高速道路、一般道や、隣接する地域には有明フェリー航路もありますが、平成20年以降、筑紫平野の沿岸沿いに、新しく自動車専用道路区間である「有明海沿岸道路」(無料)が大牟田市を起点に開通し始めることとなりました。現在、有明海沿岸道路は4市にまたがり、大牟田市から北西方向に23.8キロメートルつながっていますが、今後更なる延伸が予定されています。この沿岸道路ですが、高架設置されているため、筑紫平野と有明海の景観を眺めながら移動することができます。走行しながら視界に入るのは、広がる平野とその背後にそびえ立つ山々の稜線、眼下にはいくつもの河川や至る所に大小さまざまな水路が張り巡らされています。海岸までの距離は一定ではありませんが、海岸近くになれば有明海が広がり、またその対岸に島原・雲仙を望むこともできます。・有明海沿岸道路(九州地方整備局 福岡国道事務所提供)大牟田三池税関支署(福岡県大牟田市)筑紫平野 ファイナンス 2018 Oct.79連 載 ■ 各地の話題

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