ファイナンス 2018年10月号 Vol.54 No.7
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(2)少子化にも影響する長時間労働夫が休日に家事・育児をしない家庭では、この11年間でその1割にしか第2子以降の子供が生まれていませんが、夫が6時間以上家事・育児をする家庭ではその8割で第2子以降の子供が生まれている、という調査結果が出ています。また、東大の三輪哲教授の調査によれば、正規雇用の30代男性について、週60時間以上働く場合には結婚する確率が低くなっており、同じことが週40時間以上働く女性についても当てはまり、また週60時間以上働く30代男性では出産を経験する確率も低くなっています。最後に ―「共働き共育て社会」への転換を―まち・ひと・しごと地方創生本部地域少子化対策検証プロジェクトにおいて、地域の未婚者の年収を調べたところ、中央値は男性300万円台、女性200万円台でした。この2人が働き続けるとしたら、年収500万円台となり、結婚や出産が望めるわけですが、女性が非正規で雇止めに遭うなどして、女性がこの200万円台の年収を維持できなくなると、この2人には希望が持てないことになってしまうのです。女性が活躍し、年収が上がり、男性が家庭に参画する時間ができる、という「共働き共育て社会」実現に向けた働き方改革こそが日本政府にとっての最大の少子化対策なのです。ご清聴ありがとうございました。講師略歴白河 桃子(しらかわ とうこ)少子化ジャーナリスト、作家慶應義塾大学文学部卒業後、住友商事などを経てジャーナリスト、作家に。2008年中央大学教授山田昌弘氏と『「婚活」時代』を上梓、婚活ブームの火付け役に。少子化、働き方改革、女性活躍、ワーク・ライフ・バランス、ダイバーシティなどをテーマとし、講演、テレビ出演多数。内閣官房「働き方改革実現会議」、内閣官房「一億総活躍国民会議」、内閣府男女局「男女共同参画会議 重点方針専門調査会」において民間議員などを務める。著書に「御社の働き方改革、ここが間違っています!残業削減で伸びるすごい会社」ほか多数。 ファイナンス 2018 Oct.75夏季職員トップセミナー連 載 ■ セミナー

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