ファイナンス 2018年10月号 Vol.54 No.7
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とはいえ、中身が乏しいイベントは一過性のもので、この祭典が成功しているのも職人の確かな技術と優れた製品あってのものです。光や音などで判断し、絶妙な加減で機械では作り出せない質の高い金属加工を行う職人達に出会えます。じっくり見ていると、ほんと芸術家集団ですね。小さい頃友人の家に遊びに行くと、玄関入ってすぐの部屋で僕らは遊び、その左側の鍛冶屋的スペースで、友人の父親や祖父等がハサミや包丁(の仕掛品)を熱したり打ったり切ったりしているのが当たり前の光景でした。日本中そういうものだと思っていました。東京に行ったとき、(私の地元では当たり前の)背脂ラーメンはもちろん、カレーラーメンや麻婆麺がメニューになくてびっくりしたものです。少し脱線しました。第6回の工場の祭典は10月4-7日と終わってしまいましたが、安心下さい。常に現場を公開する企業が増えているのです。「燕三条オープンファクトリー」と検索すれば、Googleマップに飛べるQRコード付きのマップを見ることができます。週末でも土曜日はやっているところが多いので、土曜日に工場見学して温泉に泊まって、日曜日に弥彦神社に行く、とかオススメです。燕三条の輝きと響き燕三条は、新潟市と長岡市のほぼ中間地点にあります。大阪府東大阪市、東京都大田区と並ぶものづくりの街。両地区はバブル崩壊後大きく売上げを落としていますが、燕三条はバブル期と同水準の7000億円弱の製造品出荷額。もちろん、多くの荒波のなか、製品も事業所も変化しています。製造業の事業所はバブル期に約5,000あったのが今は約3,000です。先般日本人の受賞が発表されましたが、ノーベル賞の授賞式の晩餐会カトラリーは燕三条製です。また、この地域がなくなったら、和釘を使った伊勢神宮式年遷宮はできないとも言われています。なお、個人的には、冒頭に紹介した「マジックメタル」とネットで検索して、動画を一度見て頂きたいです。もともとは金型製造技術の高さをわかりやすく伝えるために若者が考案したものですが、ほんと驚きますよ。そろそろ最後にします。今年gooランキングが発表した「一番かっこいい!新幹線の駅名ランキング」で燕三条駅が3位となりました。軽井沢駅より上です。ちなみに、人気漫画「るろうに剣心」は作者の出身地ということで新潟県の地名にちなんだ登場人物が多いのですが、牛鍋屋の女性店員は三条燕と言います。「半分、青い。」主演の永野芽郁さんが実写版で演じていました。各家庭にきっとある燕三条製品。その魂を込めている現場、一度体感しにきてみませんか? ご案内いたします。鍬ギャラリー ©「燕三条工場の祭典」実行委員会様々な包丁の展示 ©「燕三条工場の祭典」実行委員会 ファイナンス 2018 Oct.57ニイ「ガタ」、「トキ」、書いてみませんか?連 載 ■ ニイ「ガタ」、「トキ」、書いてみませんか?

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