ファイナンス 2018年10月号 Vol.54 No.7
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第十一回 世界に羽ばたけ燕三条ニイ「ガタ」、「トキ」、書いてみませんか?生まれ故郷ということもあり、これまで本連載では比較的慎ましやかに触れてきた燕三条ですが、大きく報道された外国人向けの海外イベントがあったこともあり、燕三条メインで取り上げてみたいと思います。ジャパン・ハウス ロンドンの独自企画 第一号展に9月13日、ジャパン・ハウスロンドンで開館記念行事が開催され、出席された麻生副総理兼財務大臣とケンブリッジ侯爵殿下(ウィリアム王子)が一緒に館内を視察する様子が報道されました。1枚の銅板から職人が急須などを作り上げる無形文化財の鎚ついき起銅器の説明に聞き入る姿や、磨き上げた金属板から「工場」という文字が浮き出てきて、また痕跡を残さずに金属板と一体化(マジックメタル)する様子を好奇心たっぷりの表情で見るお二人の姿が印象的でした。金属加工を中心としたものづくりの街、燕三条。ジャパンハウスロンドンで初めて開催される独自企画展に、「燕三条 工場の祭典」を基軸とした展示が選ばれたのです。ジャパン・ハウスって?ジャパン・ハウスは、日本政府が主導する日本の真の魅力を発信するプロジェクト。日本を代表するデザイナーである原研哉氏を総合プロデューサーに迎え、「日本を知る衝撃を、世界へ。」をテーマに、ステレオタイプの日本だけではなく、現地の人々の関心を喚起する日本を発信することを目的とした事業です。ロンドンは、サンパウロ、ロサンゼルスに次ぐ3拠点目。ショップやミュージアムなど文化的・商業的な建造物が多く所在するケンジントン地区に立地しています。燕三条の展示も、約20社の展示を全体がかっこよくデザイン・配置されていて、「Biology of metal」という、江戸時代に和釘作りから始まった燕三条の金属加工技術の多種多様な発展や幅広い製品をうまく表現するコンセプトになっています。展示や商品販売だけでなく、職人による解説や、箸やスプーン作り体験、煙管作りや包丁研ぎの実演も組み込まれています。燕三条の企画展は10月28日(日)まで開催しています。燕三条工場の祭典今や産業観光としても日本で有数の地と言われる燕三条。その地位を大きく引き上げた工場の祭典は今年で第6回となり、内外から4日間でのべ5万人を超える方が訪れるイベントとなりました。普段は見学スペースもないような工場も含め、約100の工場が一斉に仕事の現場を開放し、職人の技の見学や体験活動ができるイベントです。この実行委員会、中核メンバーを30代がやっていて、とても活気があります。新潟県総務管理部長(元財務省広報室長)佐久間 寛道銅器の説明を聞く麻生副総理とケンブリッジ公爵殿下©Japan House London56 ファイナンス 2018 Oct.連 載 ■ ニイ「ガタ」、「トキ」、書いてみませんか?

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