ファイナンス 2018年10月号 Vol.54 No.7
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6.おわりに最近の若者は「内向き志向」だという論調を目にすることもあります。何も、海外勤務等を希望しないことが、イコール内向きであると断ずるつもりもありませんが、やはり一生に一回は、海外暮らしを経験するのも悪くないと思います(ちなみに、当たり前ですが、旅行と海外暮らしは全然違います)。上述のとおり、海外暮らしもいろいろな不満やストレスを抱えることも事実です。筆者も、改めて、日本や日本人のよいところ、を再確認した次第です。しかし、繰り返しますが、デメリットもあればメリットもあるものです。特に広大な国に行った場合は、その広大さを実感することも多々ありますし、その国ならではの人情味、文化、料理など日本とは一味違う良さも味わえると思います。アメリカでは、特に長く暮らしている女性から、「日本に帰りたくない。当地の方がいきいき出来る。」という声を多数聞きました。これは、推察するに、アメリカの実力主義が彼女たちに合っているからだと思いました。ある程度、腕に自信のある人は、アメリカの方が合っているのかも知れませんが、でも、日本人である筆者は、(こうした海外で活躍する人たちにも)日本人の繊細さ等も無くして欲しくはないと思います。このように、客観的に日本と他国を比較できるメリットもあります。迷っているのであれば、是非、海外勤務等をお勧めしたいです。さて、上述した、日本人のプレゼンス低下、中国人のプレゼンス向上ですが、GDPなどの経済力については如何ともし難い面があるのかも知れませんが、やはり日本人はアメリカでも(ハーバードでも)目立って欲しい気がします。ブランドショップに並ぶことだけが、プレゼンスではありませんが、ハーバードの学内を得意げに闊歩している中国人を見ると、日本人ももっと目立ってしかるべき、それだけの能力(語学力だけではなく)はある、と信じます。ボストン生活において、いろいろな日本人に出会いましたが、一人一人の能力は優れていると思います。ただ、もっと目立つにはどうすればよいか、という答えが見つからないまま、1年の滞在期間が過ぎてしまいました。筆者の学内での研究成果のプレゼンには、多くのアメリカ人等が来てくれました。是非、我こそは、という方のチャレンジも期待したいところです。さて、ボストン生活の細々としたところまで書いて、雑駁な文章になってしまいましたが、筆者の言いたいことは書いたつもりです。いろいろな国を比較して、「やはり、日本が一番だ。」と感じるもよし、「俺の(私の)活躍の舞台は、ここ(海外)だ。」と思うもよし。皆さんも一度、海外暮らしを体験してみませんか。(了) ファイナンス 2018 Oct.51海外ウォッチャーFOREIGN WATCHER連 載 ■ 海外ウォッチャー

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