ファイナンス 2018年10月号 Vol.54 No.7
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いるメインストリート沿いに住んでいましたが、なんとそのメインストリートによくダチョウらしき動物の集団が歩いているのにも遭遇しました。ニューヨークほどの都会でもなく、ほどほどの田舎という雰囲気が結構気に入っていました。アメリカではマクドナルドがおなじみだと思いますが、ボストンでは、ダンキンドーナツのお店がやたらと多くあります。それもそのはず、ここボストンが発祥の地、ということですが、地元では、「貧乏人はマックへどうぞ、気品あるボストニアン(ボストン人)はダンキンドーナツだぜ!」と思われているそうです。筆者の実感では、「うーん。売っているものや値段もそれほど変わらないし、どっちもどっちかな。」というものですが、それでも当地滞在中は、ダンキンドーナツを愛用しました。ちなみに、あとは、「ベランダで洗濯物を干すのも、貧乏人のやること…」という都市伝説も流布していました。有名大学を抱えてインテリが多く住む街なので、ちょっと気取ったところがあるのかも知れません。筆者は、当時2歳のこどもも一緒にボストンにいたのですが、実感として、こどもに優しい街であるとも思いました。これは、事前に、ボストンに住んでいた人からも聞かされていましたが、車社会の割には、極めてベビーカーに優しいです。信号のないところでも、ベビーカーで道路を渡ろうと待っていると必ず車は止まってくれます。また、スーパーやドラッグストアの前にくると多くの人が扉を(ベビーカーのために)開けてくれます。勿論、エレベーターなどの乗車時にも配慮してくれます。筆者は、上記のように中国にも住んだことがあるので、「日本人のマナーはよい。」ということは世界に誇れることであると最近までは思っていました(最近は、だいぶ悪くなった(特に駅などで)、と感じますが。)。しかしながら、日本での例えば、「保育園はうるさいので迷惑施設!」などの保育園・幼稚園建設反対のニュースをみるたびに悲しくなります。もう少し日本もこどもに優しい社会であればよいのに、とアメリカで実感しました。こどもに関して言えば、アメリカ人の方が感情をストレートに言います。街をベビーカーを押して歩いていると、すれ違った人のみならず、反対の車線で車を運転していた人までが、わざわざ車を止めて、こどもに対し、「Oh! ソーキュート!」などの過剰とも思える表現・ジェスチャーで、こどもへの関心を伝えてくれます。日本だったら、こころの中で、「あぁ、かわいいこどもだな」と思っても、知らない人の前では、黙っている人が多いでしょう。素直な感情表現は、やはりアメリカ人に似合います。困ったことと言えば、まずは「チップ」が挙げられます。スーパーなどでの買い物にはないですが、レストランのみならず、ちょっとした対面販売のお店でも消費税のほかに、チップ(最低でも15%)を払わなければいけません。どう考えても、それほどのサービスを受けた訳でもないのに…と思うのですが、これがかの地の習慣なのですからどうしようもありません。ボストンは物価は安い、とガイドブック等に書いてありましたが、後述する不動産を含め、日本より物価は高い、というのが実感です。チップを除く元々の値段も、レストラン或いはスーパーで買う日用品等についても、日本よりちょっと高いのではないか、というのが実感でした。チップに関して更に言えば、ある日本の焼肉チェーンのお店がボストンにも進出していまして、時々出かけましたが、ある時、ウエートレスに食事中、油をかけられてしまいました。日本だったら、店長が飛んできて、「クリーニング代はお支払いしましょう。」というところですが、当該者は、お会計時に何事もなかったようにチップを要求しました…。不動産も概して高い、というのが実感です。上述のように筆者の渡米は、長期出張扱いだったので、出張手当は受領していましたが、それのかなりの部分が家賃に消えました。日本のネットを見ていたら、ある(売れっ子)芸能人夫婦のタワーマンションの家賃がウン ボストン市内の観光地・エーコンストリートにて。ボストンには、このような路地裏がおしゃれなスポットがあります。古都の趣きがあります。48 ファイナンス 2018 Oct.連 載 ■ 海外ウォッチャー

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