ファイナンス 2018年10月号 Vol.54 No.7
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1.はじめにファイナンスをお読みの皆さん、こんにちは。筆者は、平成元年に大蔵省(当時)に入りました、北條純人と言います。公務員生活も約29年半となりましたが、これまで、財務本省・財務局勤務が合計13年、それ以外(大学の先生、他省庁などなど)が16年と自分ではバラエティ豊かな公務員人生を送っていると思っております。本省・地方局勤務以外の16年のうち、中国・上海勤務が3年ありますが、この度、アメリカ勤務も経験させて頂きましたので、それらの経験を踏まえて、記載したいと思います。2.ボストン生活(仕事面)まずは直近、2017年6月から、2018年6月まで、ハーバード大学国際問題研究所客員研究員という身分でアメリカ・ボストンに赴任しました。赴任といっても役所の書類上は長期出張扱いでしたが、実際1年、アメリカで生活しました。客員研究員といっても、オブリゲーションは、1年で論文作成のみ、でして、大学の授業の単位取得などは、必要ありませんでした。しかしながら、大学の授業期間中(秋学期、春学期)は、関連行事が多く、それなりに刺激的な大学生活を送ることができました。だいたい1週間は、以下のような感じです。大学の授業は、単位取得などは必要ないものの、最低2コマの授業を聴講することを求められます。筆者は、上述のように中国での勤務経験もあるので(中国帰国後のポストが滋賀大学准教授だったので、そこでも、「中国経済」などを教えていました。)、ハーバード大学での研究テーマを「中国・人民元為替改革の今後の見通し」としていました。従って、聴講授業も、中国関連のもので固めようと思ったのですが、国際問題研究所の教授からは、「聴講授業は、必ずしも自身の研究テーマに拘らなくてもよい。逆に視野を広げるために、例えばアメリカ経済など、他分野の授業をとってみても良いのでは。」とアドバイスされました。それもそうだな、と思い、中国経済以外の授業(マクロ経済や金融政策)も聴講しました。また、毎週火曜日には、国際問題研究所主催のセミナーが開催され、これは出席マストであり、かつ(セミナーは午後一から始まります。)、自身の研究テーマ等に関連がある場合は、セミナー開始前の講師との昼食会に呼ばれます。このセミナーの講師は、ジョセフ・ナイ氏(国際政治学者、いわゆる「アーミテージ・レポート」の作成者の1人)であったり、エズラ・ヴォーゲル氏(社会学者、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の著者)であったり、また清家篤氏(経済学者、第18代慶応義塾長)もいらっしゃいました。筆者は、エズラ・ヴォーゲル氏との昼食会に呼ばれました。という訳で、月曜日は、授業(マクロ経済)、火曜日は、セミナー、水曜日は授業(金融政策)、木曜日は、大学のレセプション(例えば、アジア研究関係者の集い)という感じでした。なお、金曜日は、アメリカ人にとっては、既に週末モードということらしく、大学でも、金曜日の午後は、基本的に授業のコマがない程でした。筆者は、これらの授業、行事の合間に図書館等で、自身の論文執筆等に励んでおりました。しかしながら、上記の行事等は、あくまで、授業学期中のことで、授業がない時期は、行事の数もぐっと減ります。あるハーバード2年目の同僚は、「ハーバードタイムは、9月、10月、11月、2月、4月(3月には、春休みも!)の5か月のみだ!」と言っていました。ただ、FOREIGN WATCHER海外ウォッチャー「日本人は、何処に?」~ボストンの経験から~関東財務局管財第二部長(前 ハーバード大学国際問題研究所客員研究員) 北條 純人46 ファイナンス 2018 Oct.連 載 ■ 海外ウォッチャー

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