ファイナンス 2018年10月号 Vol.54 No.7
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巻頭言“お笑い”の力で、社会問題を身近に、わかりやすく!株式会社笑下村塾 取締役お笑いジャーナリストたかまつ ななごきげんよう。お嬢様芸人の「たかまつなな」でございます。私はこれまで、お笑い芸人としてテレビや舞台で活動してきましたが、この4月からは社会人に、そしてその傍らで、“お笑いジャーナリスト”としての活動にも益々力を注いでいます。“お笑いジャーナリスト”って聞いたことがない方も多いですよね。どうしても難しく考えてしまい、距離を置いてしまいがちな様々な社会問題であっても、“お笑い”を通せば身近にわかりやすく伝えられると信じております。「お笑いを通して社会問題を発信する」お笑い界の池上彰さんを目指しています。22歳の時に立ち上げた「笑下村塾」では「笑える!使える!政治教育ショー」をテーマに、若者と政治が継続的につながっていけるような活動を行っております。たくさんの方々の協力を得ながら、全国で延べ2万人近くの学生さんや企業の方々に、出張授業や企業研修を届けてきました。私たちが出張授業で使用する教材は、何度も何度も練り直しています。どうやったら若者に伝わるのか、どのような例え方をしたらピンと来てもらえるのか、毎回試行錯誤を繰り返してきました。例えば若者に「選挙に行かなきゃ」と思ってもらうにはどうするか?ご年配の方々の投票率は高いのに、若者は選挙に行かない、興味がないのが現状です。そこで「シルバー民主主義が作られる状況=お笑い芸人のネタの選び方」として説明しました。例えば、芸人がネタを選ぶ時、寄席ではおじいちゃんおばあちゃん向けの「ウケるネタ」、学園祭では若者向けの「ウケるネタ」を選んで話をします。政治家の方々もそうで、投票してくれる人の顔を見て「ウカるネタ」を選んで演説で訴えます。だからもっと若い人たちが選挙に行かないと、自分たちの思いが伝わらないよ、みんな選挙に行こう!と話します。そうすると若者もピンときてくれます。このようにお笑いを交えて、わかりやすく伝えるにはどうしたら良いかを実践し続けた結果、出張授業を行った高校で、ある選挙での生徒たちの投票率が84%になったこともありました。若者の投票率の低さが話題になる中で、非常に高い数字になりました。難しいと思われがちな社会問題でも、伝え方次第では楽しんでもらいながら、熱心に聞いて、理解してもらえるんだと思います。現在は、お笑い芸人100人が先生となって、全国各地で出張授業をすることを目標にしています。幾つもの草鞋を履きながら活動をしている私は、これまでたくさんの方々から温かいメッセージをいただいてきました。「夢を応援します!」「自分の進学を諦めた私の分も頑張って!」とみなさんの声に励まされてきました。若者と政治をつなぐ架け橋となるために、社会問題を多角的に学びたくて進んだ大学院の学費は、インターネット上で寄付を呼び掛けるクラウドファンディングを使い、多くの方のご理解とご協力をいただきました。みなさんのご支援のおかげもあり、無事に大学院を卒業することができました。この感謝の気持ちを忘れず、いつか私がもっと活躍し、夢を追いながら勉強をする子供たちの支援をして、次世代に還元したいと思っております。私はみんなで色々な社会問題を考えていきたいのです。私たち若者が、楽しく社会を作っていきたい、未来を悲観するのではなく、一人一人が当事者意識を持って欲しいと考えています。そのための第一歩として、“お笑い”の力を使って社会問題を伝えていきたい。これからも笑下村塾とたかまつななのチャレンジを応援してください!ファイナンス 2018 Oct.1財務省広報誌「ファイナンス」は、こちらからご覧いただけます。

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